第2回 初修外国語担当教員による座談会
暗唱は宿題としては特におこなっていません。
私は、小テストを課す時には、事実上暗唱しないと出来ないような小テストをやって暗唱させるようにしてるんですけども、でこの暗唱を中国人学生は、語学を学ぶとき、たいへん熱心にするんですね。私、京都大学に来ている北京大学などの学生を受け入れてるんですけど、彼ら2年生、3年生でも結構日本語が話せるんで、授業に出られるんですね。なぜかって言ったら向こうの日本語教育はかなり暗唱させるんですね。キャンパスでみんなテキスト持って暗唱してるんです。徹底してやってるんですね。ですが、我々はそれをあんまりやりませんですね。
でもここ2、3年ぐらいスペイン語教えてきてやるべきだと思ってます。
それだから先ほども申し上げたミシガンプラクティスです。ミムメムメソッド。真似をして覚えるという。
あとディクテーション。
ディクテーション、そうです。いや実は、いま話したことは、録音から削除していただきたいのですが。こういうことしっかりやりたいんだって言ったら学生たちがおっかながるんじゃないかと思います。今の学生たちって暗唱嫌いません?
いやでも暗唱はいいですよ。
やっぱりやらなきゃだめだって。
リズムとかやっぱりね。
そうですね。
僕は殆ど毎週のようにディクテーションの小テストをするんですけど、テキストのこの頁の各文を、来週僕が発音したらそれを書き取れ、という形式で。そうすると、学生の皆さんは、大抵暗記してくるんです。で1行目の1文字を言った瞬間に書きはじめる。
そうだね、もう覚えちゃってる。
それはディクテーションになってない。
京大生の得意な所。
ですけれども値打ちはあると思うんです、それをやらせてるんですけれども、僕でそのただ暗唱しろといったら学生たち嫌がりますので、今時の学生って小テストするとこれがまた真面目にやるんですね。
小テストしてくださいって彼らの方からいう。
言うんですね、それが成績に反映されて、定期テストで一発勝負でなくなりますから。それで彼ら1年生ですから高校受験で京大を乗り切って、京大入ったばかりでございましょう。
ああいうタイプの勉強には長けてますよね。
長けてますからね。暗唱は大切だけどその暗唱が大切だということをなかなか言いにくくて、学生たちが腰がひかないようにそういう工夫をしてるんですけど、やっぱり先生方もそう思われますよね。
私はここのところ何年か教えてきて暗唱はやったほうがいいと思っています。
でも、授業で、はい塚原くんそこに立ってはい発音してごらん、今から1ページ目1行目から言って発音してごらんって言ったらやりませんでしょう。
なかなか難しいですね。
それはね、おそらく語学において非常に大事なことだと思うんですけれども、棒読みして暗記するというのはやっぱりあんまり役に立たなくて、例えばテレビを見てても映画を見てても同じですけど、そこを見て面白いと、こういう時にこういう表現をするのだという感情とともに覚えると一発で覚えるんですね。
シチュエーションがあったらですね。
それがやっぱり非常に有用なんじゃないですかね。
そうですね。映画なんかみるとこんな時にこんな言い方するのかっていうの思ったらその言葉覚えます。
一発で覚えられる。
そのフレーズ覚えますもんね。
だから最近の映画は悪い言葉いっぱい出てくるから色んな、そういうの真っ先に覚えちゃう。四文字言葉とか。
だけどそういう暗唱だとかディクテーションだとか含めて、こちらからの提案を受ける中で、学生には自分の勉強の仕方をちょっと考えて欲しいんですね。英語と同じ勉強の仕方ではダメなところが当然あるはずですが、同じようにやってしまっているのではないか。
それはだけど受験英語に関して。
そうですね。
本当の英語は違うと思う。
たしかに違うでしょうね。いずれにせよ、多くの学生は、道が舗装されている(=勉強方法が整備されている)受験英語のような感覚を引きずっているのではないか。
そうですね。
ところが舗装されてない道にも入って欲しいわけですよ。スペイン語でもフランス語でも中国語でも。舗装されていない道に分け入った時には、例えば辞書どう使うかっていうことが非常に重要になってきます。だからといって、それを教えるわけではない。ヒントを渡すだけです。それで思考錯誤しつつ学ぶということも経験してほしいんですよね。
自分で体得してほしいと。
その力をつけてほしいと思います。違って当然なんですけど、その違って当然ということの前にひるまないでほしい。
そうですね。
違うっていうのは英語と違うんだっていう。
英語と違う。それもあるし受験英語の勉強法というのがね、100%いいのかというとそんなことは必ずしもないので、それが非常に大きな誤謬だと思いますね。