ロシア語紹介

Q&A

ロシア語初級カリキュラムの解説

<目標>

ロシア語部会では、先述の「目的」を具体化した以下の3項目を、カリキュラムの「目標」として設定しています。

ロシア語の基礎的な運用能力の習得
ロシア文化に関する知識の獲得
単純化された世界観に流されずに世界の多様性を理解する能力の獲得

<能力>

①から③の目標に到達するために必要な能力を次のように定めています。

A.
言語運用能力(聞く・話す・読む・書く)
B.
自律的学習能力
C.
異文化理解能力

<課題等>

文法・演習コース全般で以下のような学習を行います。

a.
「聞く・話す」に関しては、基礎語彙や基本文法事項の習得を通しての、身近な事柄(家族、買い物、仕事など)についての簡単な範囲での情報交換の練習に取り組む。
b.
「読む」に関しては、辞書を用いたやや長めで複雑な文章の読解などを通して、抽象的な話題を含む文章の大筋も把握できるような練習に取り組む。
c.
「書く」に関しては、短い文章や会話場面を学習し、それらを踏まえて、身近な話題に関しての脈絡ある文章を書けるような練習に取り組む。
d.
短い文章や会話場面を学習し、学習した文法と語彙の範囲内で自ら工夫して、自分の考えをロシア語で伝えられるような練習に取り組む。
e.
ロシアの日常生活を伝える文章や、慣用表現、平易な詩歌などにも触れるように努める。

ロシア語初級カリキュラム見取り図

ロシア語 ー 三点は平面をなす ー

1. まず,「どうして,英語以外の外国語まで学ぶ必要があるのですか?」という,たいていの新入生諸君が抱くかも知れない疑問に答えることから始めましょう。もちろん,言葉にとても興味があり,外国語を学ぶことも大好き,というような諸君がいれば,それは,もう大歓迎です。皆さんはこれから,京都大学で,それぞれが自分自身のいわば「知の殿堂」を築く作業を始めるわけですが,その際に,言葉を通していろいろなことを知ったり考えたりしてゆきます。ですから,言葉というものは,「知の殿堂」作りにとっては,土台とも言うべき重要な要素となります。そして,その土台がしっかりとしていなければならないことは説明するまでもありません。

さて,皆さんは,日本語が出来ます(ハングルやブラジル・ポルトガル語の方が得意な人も大丈夫です)。これで,一つ目。次に,たいていの人は英語を習って来ています。これで二つ目の言葉です。一つの言葉より二つの言葉の方が良いことは明らかですが,これでは,まだ,「線」にしかなりません。三つ目の言葉を学んで,初めて,「平面」が生まれるのです。「平面」ならば,安定した土台となることが可能です。そのしっかりとした基礎の上で,新入生諸君がどのような「知の殿堂」を目指すのか楽しみです。
ところで,英語以外で,どの外国語を学ぶか,迷う必要はありません。自分が興味をひかれた言葉を選べば良いのです。
2. 京大生が,そこそこに勉強するならば,どの外国語であれ,それなりの実力は養えます。先輩などから,「○○語は難しくて単位を落とした」などの噂話を聞くこともあるかもしれませんが,そこには,サークル活動やアルバイトに時間を取られて,「そこそこの勉強」も出来なかった,という隠された(?)要因もあるかも知れないのです。初修外国語の成績と授業の出席率は正比例すると言われますし,きちんと勉強しさえすれば,何も心配はいらないのです。また,或る外国語の社会的な人気・不人気も,皆さんが卒業して実社会に出る頃には,どうなっているか,予想は難しいのです。したがって,目先の損得にとらわれず,自分が気に入った言葉を選べば,それが一番なのです。ロシア語は,文法的には,学習の最初に覚えることが多めですが,その段階を越せば,あとは比較的に楽に進みます。そして,文法をきちんと学べば,それだけ実力もつく言葉ですから,学び甲斐のある外国語でしょう。世界に羽ばたくことも夢ではありません!

3. ロシア語は,インド・ヨーロッパ語族のスラヴ語派に属し,系統的には,ドイツ語やフランス語などとも,いわば「親戚」の関係にあります。ロシア全土で公用語ないし高等教育や学術研究の用語として広く用いられています。
今日,ロシア語を母語とする人々の数は1億数千万人と言われています。日本語の場合より少し多い程度ですが,大きく異なるところは,ロシア語は,たとえば国連での公用語の一つとして使用されるなど,国際交流の場で大きな役割を果たしているという点にあります。今もなお,世界各地で5億人に達する人々によって,様々な場面で用いられています。
文法上,何よりの特徴は,その形の豊かさにあります。語の形,特に語尾をいろいろ変化させて,様々な意味を伝達します。すなわち,名詞などでは,性・数・格を表示するための複雑な語尾の体系が,一方,動詞では,アスペクト,態,時制,人称など,様々な文法カテゴリーを表す形態論的手段が発達しています。
独特とも思えるアルファベットの暗記から始めて,上のような豊かな文法形態を身につけることが初級の授業の重要なポイントです。辞書を引きながら新聞や雑誌の簡単な記事を読めることが,初級の到達目標だと考えています。中級では,知的鍛錬・教養の向上を念頭に置きつつ,読解力を高め,専門領域での最低限の情報収集能力を身につけさせることが,目標です。同時に,読む・書く・聴く・話すのバランスのとれたロシア語の力を目指して行きます。

教科書の一例

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