教育院長のあいさつ

科学技術の進歩や国際化の進展等、社会の変化が激しい時代です。このような環境の中、学生の皆さんには、これからの社会を創造していくことが期待されています。皆さんに、幅広い視野と深い教養、優れた創造力をもって国際的にも活躍していただくため、国際高等教育院は、本学の教養・共通教育の企画及び実施について責任を負う組織として、2013年4月に設置されました。その目指すところは、「個々の学問領域を超えた幅広い分野に共通する基礎的な知識及び方法を教授するとともに、学生が高度な学術文化に触れることを通して豊かな人間性を育むための教育」(京都大学国際高等教育院規程第3条)です。

本学は、開学以来、対話を根幹とする「自学自習」の理念を掲げ、百年を超える歴史の中で「自由の学風」を培ってきました。その基礎には、学問とは、自ら考え、経験し、自由な対話を行うことを通じて、未知の課題を見出し、原理・原則から人間、社会そして自然現象を探究することにより、新たな知的地平を切り拓いていくものであるという信念があります。もちろん、学問を行うためには、先人の知恵を謙虚に学ぶ姿勢が大切です。しかし、それと同時に、本学に学ぶ皆さんには、高い志を持って、未知なる課題に取り組み、新たなるものを創造することに挑戦してもらいたいと思います。そのためには、既にある知識の効率的な学習から、新たな知識を生み出す研究へと知的営為の転換を図る必要があります。対話を根幹とする「自学自習」とは、このような知的営為の転換を意味するものであり、それを通じて、皆さんは学問の道の第一歩を踏み出すことになります。本学の教養・共通教育の第一の目標は、その第一歩にふさわしい、自由で闊達な知的空間を築くことにあります。

国際高等教育院長 村中 孝史

また、現在の学問は、その発展に伴って、専門分野の細分化が進んでいます。しかし、他方で、地球社会の抱える課題は、専門分野を横断する形で生じており、このような課題に果敢に取り組むためには、皆さんが専攻する分野を学ぶだけではなく、その基礎として、多様な視点から事象を見つめることができる豊かな教養が必要になります。本学の教養・共通教育は、人間、社会、自然に関する科目を幅広く提供し、それぞれの分野において基礎となる知識や考え方について、多様な学部の学生が自由に議論し共に学ぶことを通じて、各自の教養を、そして互いの人間的な絆を深めることを目指しています。

さらに、今後、皆さんが国際的に活躍をしていくためには、様々な価値観や文化、生活習慣を持つ世界の人々と、コミュニケーションを図り、共生することが大切になります。そこで、本教育院では、外国人教員が担当する英語による授業の充実を図るなど、英語をはじめとする語学力の育成に力を入れています。また、皆さんが世界で自らの可能性を試すことができるように、留学支援の取組みも始めています。

今後も、国際高等教育院は、すべての学部と緊密に連携し、又、研究科や研究所・センターの協力も得ながら、本学で学ぶ皆さんに充実した教養・共通教育を提供できるよう、取り組んでいきます。どうか、熱意ある先生方の知的刺激に溢れた授業から、また学友との率直で自由な議論から、多くのことを学び、自らを高めて、広い世界に羽ばたいてください。

国際高等教育院長 村中 孝史