霊長類進化形態学 2015年度

 霊長類進化形態学は、ヒトを含む各種霊長類の形態を、生活様式や機能との関連も考慮しながら比較研究し、霊長類およびヒトの進化と適応の解明をめざす研究領域です。研究内容は、実験室内のものからフィールドでの調査まで多岐に渡ります。例えば、我々の研究室では、実験室でのアプローチとして、主に霊長類の形態的基本特性、姿勢ロコモーション様式、成長の様相、種内変異、形態的遺伝特徴などについて、生体計測、骨格観察および計測、比較解剖、生機構学的分析といった手法を用いた検討を行なっています。また、フィールド調査にも積極的に出ており、ヒト・霊長類の進化の直接的証拠となる化石の発掘や、アジア地域でのマカク類の分布調査、ロコモーションの観察とビデオによる計測なども行っています。
 本セミナーでは、霊長類が示す、形態の多様性の意味と発生メカニズムを理解することを目標とし、霊長類の形態の進化について、系統発生・個体発生(成長と加齢変化)・適応・機能(歩行や手の動きなど)の側面から、講義に実習を交えて、考えていきます。授業は、霊長類研究所(犬山市)において、夏休み期間中に集中講義形式で行ないます。以下の講義・実習の例を示しますが、各自の興味によって変更することは可能です。詳細はシラバスをご覧下さい。

1) 霊長類の系統進化と形態概論:講義(担当:濱田穣)
2) 霊長類の成長と加齢変化:講義と生体計測・体組成計測実習(担当:濱田 穣)
3) 霊長類のロコモーションと機能形態学:講義と運動分析実習(担当:平崎鋭矢)
4) 霊長類の進化形態学:講義と三次元形態分析(pQCT, CTを用いて)(担当:平崎鋭矢)
5) 霊長類頭骨形態の物語るもの:講義と頭骨解剖学・計測実習(担当:毛利俊雄)
6) 霊長類の飲食行動の相互観察:実習(=懇親会)(担当:教員と受講生)

 受講条件や準備すべきことなどは特にありませんが、研究室のウェブサイト(http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/shinka/keitai/index.htmIconIcon new window new window)を見ておいていただければ、講義の理解がスムーズになります。
サル(霊長類)に興味のある方、進化に興味のある方、骨を触ってみたい方、いずれにも該当しない方、一緒に楽しい数日間を過ごしましょう。

平崎 鋭矢 他

****** 各教員プロフィール ******
【濱田穣】
霊長類研究所/教授
出身地:鳥取県鳥取市
専 門:霊長類の成長と加齢、霊長類の進化地理学
趣 味:Golf(下手だが批評好き)

【平崎鋭矢】
霊長類研究所/准教授
出身地:兵庫県神戸市
専 門:霊長類の機能形態学、運動分析、バイオメカニクス
趣 味:Jazz鑑賞(演奏も人に聞かせられない程度には)と読書(SFなど)
好きなもの:酒;嫌いなもの:酔っ払い。

【毛利俊雄】
霊長類研究所/助教
出身地:広島県尾道市
専 門:霊長類の頭蓋学
趣 味:囲碁(強くはありません)