オープンエデュケーション入門 2015年度

 世界のどこにいようとインターネット環境さえあれば、無償で提供されるさまざまな講義ビデオや教材から学ぶことを可能にしてくれるオープンエデュケーションは、インターネットが普及しつつある世界で進行中の、「学びと教え」を巡る素晴らしいムーブメントです。オープンエデュケーションの普及によって、学び方や教え方の進化が加速し、私たちは日本にいながらも、世界最先端の知に触れられるようになりました。オープンエデュケーションは、日本ではまだあまり知られておらず普及も世界的にみて遅れをとっていますが、これからのグローバルな世界で活躍し、さらに世界の知に貢献できるような人の成長や育成にとって、オープンエデュケーションについて知り、関わっていくことは、非常に重要だと考えられます。
 本ゼミでは、国内外の様々なオープンエデュケーションの事例や文献、また実体験を通して、オープンエデュケーションの意義や可能性、将来的課題について幅広く学び考えながら、ゼミ参加者個々人の教育との関わりを通じて、これからの社会や人生における教育の意味や目的を探究していきます。
 授業は、講義、文献・資料の読解オープンエデュケーション・プロジェクトの事例調査・分析 やウェブ教材利用体験などに基づいたグループディスカッション、受講者によるプレゼンテーションなどを織り交ぜ、インターネットやマルチメディア等を活用しながらインタラクティブに行います。
 これまでの本ポケゼミの内容や様子は、「Webに渦巻く『やる気のかたまり』で学ぶー『情熱増幅装置』としてのオープンエデュケーション」と題する以下の取材記事でも紹介されています。

授業で扱われるトピック・テーマ例:
・ 「知の宝庫」としてのインターネット
・ 格差解消装置としてのオープンエデュケーション
・ グローバルな世界で生き抜く力をどう習得するか
・ 学ひと職の新たな関係
・ 教育のローカル性 vs. グローバル性
・ オープンエデュケーションが生み出すスター教師たち
・ オープン・テクノロジー、オープン・コンテンツ、オープン・ナレッジ
・ オープンエデュケーションにおける世界のエリート大学の挑戦
・ 「オープン・テキストブック」による教科書の無料化・低価格化
・ 参加型の学びと学習コミュニティー
・ Massive Open Online Courses (MOOC)の高等教育へのインパクト
・ 「より開かれた21世紀の大学」の新たな姿
・ デジタルネイティブが切り拓く新しい教育の可能性
・ オープンエデュケーションをこれからの学びや仕事にどう活用できるか

飯吉 透

京都大学 高等教育研究開発推進センター センター長・教授

カーネギー財団上級研究員・同知識メディア研究所所長、東京大学大学院情報学環客員教授、マサチューセッツ工科大学教育イノベーション・テクノロジー局シニアストラテジストなどを経て現職。世界経済フォーラム グローバル・アジェンダ評議会委員(「テクノロジーと教育」部門)、NHK日本賞審査委員などを歴任。国内外でテクノロジーを利用した教育の進展に関するビジョン策定・研究開発・啓蒙活動に従事。
主著にOpening Up Education(MIT Press, 2008)[共編]、『ウェブで学ぶ-オープンエデュケーションと知の革命』[共著](筑摩書房, 2010)など。