こころの在処 2007年度

「この絵は何を物語るのか」

■「こころ」を考えるのは、簡単そうでむずかしい
 このポケゼミでは、「こころ」についてさまざまな角度から考えようとしています。通常、こころを考える学問は心理学だと思われますが、心理学について少しかじり始めると、心理学が研究の対象としているのは「こころ」ではなく「行動」であることが分かります。それは、心理学が科学的方法論をもっていることに拠ります。すなわち、「こころ」が不可視であるため、そのままでは科学的研究の手法では扱えないために、「こころ」を「行動」と置き換えているという事情があるのです。「こころ」の働きが「行動」であると考えるわけです。それでは、「こころ」そのものを扱うことはできないのでしょうか。まず、素朴にこのような観点から出発しようとしています。すると、「こころ」とは何なのかということが、たちまち大きな問題になってきます。「こころ」とは・・・。

■現代科学と「こころ」
 ところで、現代物理学の中心に在る「量子力学」の世界にほんの少し足を踏み入れると、量子というのは概念であってそのような物質が存在するわけではないことに気づかされます。量子は概念であり、量子そのものは観測できない。これは「こころ」と似てはいないでしょうか。けれども、量子は現代物理学のなかで立派に研究対象になっています。それでは、「こころ」も現代科学のなかで考えることができるのでしょうか。どうなんだろう・・・。

■主体とは何か
 「こころ」はどのようなときに機能するのでしょうか。「こころ」が機能するときには何が不可欠なのでしょうか。このようなことも考えてみると非常に意味深いと思います。わたしは、「こころ」が機能するときには主体が不可欠となると考えています。ではその「主体」とは何なのでしょうか。わたしとは・・・。

■ゆったりと
 このように、「こころ」について素朴な観点から出発して考えていきますが、その際には身体がリラックスしていることが必要です。真夏の3日間、集中講義のスタイルで少人数でゆったりとやりたいと思います。

皆藤章准教授

教育学研究科
専門分野:心理臨床学,臨床実践指導学