思い描く未来への第一歩

京都大学からの海外留学 先輩の体験談①

田中 和
法学部 2年生

参加プログラム交換留学
留学先大学名サセックス大学
留学期間2021年9月~2022年5月
(約8か月)

将来像をより具体化するために

将来、国際機関において国際開発の分野で活躍したいとの思いから行った留学の目的は、①国際法・国際開発学・国際関係学の勉強、②将来の進路の具体化、③英語力の向上であった。自分の興味や希望進路の変更により、結果的に、国際開発よりも国際人権法を中心とする法学の分野での学習を進めることとなったが、留学中の学習活動の成果としては、以上の目的に対応して、大きく以下の3点がある。

第一に、国際開発学の基礎を学ぶとともに、法学・国際関係学における批判的思考を身につけることができた。京大法学部の法律の授業においては、既存の法律の法解釈や判例法の学習が中心的であり、いわば「教科書を使った勉強」を行うのが通常である。一方、留学中に履修していた授業の多くでは、既存の法がどのような問題を生じ得るか、既存の法制度が今後どのように変わっていくべきかといった批判的な視点からの考察を行うことが多く、いわば「教科書を疑う勉強」をすることが多かった。また、サセックス大学の国際関係・国際開発学の授業においては、その根底にポストコロニアリズム的な視点が色濃く存在し、私が履修していた国際開発等の授業を通じても、国際関係を批判的に検討する視点を養うことができた。

第二に、教員の職歴について知ったり、授業で国際機関の活動・役割について学んだり、国連や国際NGO等が作成するレポートをエッセイの参考文献や授業の教材として使用したりする中で、国際機関やその職員らの活動、そこで求められる技能・知識について知ることができ、将来のキャリアプランをより具体化することができた。当初は「国際開発の分野で働きたい」という漠然な気持ちのみ持っており、そのためにどのような勉強が必要かなどについてイメージを持っていなかったが、留学中の学習を通じて、とくに人権問題の解決に貢献したいと考えるに至り、オフィスアワーにおける教員との相談を経て今後日本で法曹資格を取るという進路を描くことができ、また授業やエッセイに取り組む中で、人権に焦点をおいた学習を進めることができた。

第三に、専門的な内容をすべて英語で学習したことで、専門用語などを多く含む英語の文献も難なく読むことができ、またライティング・スピーキングに関しても、そういった専門的な議論を英語でも抵抗なく行うことができるようになった。留学を通じて希望進路に多少の変更はあったものの、やはり将来的に国際的に活躍したい気持ちは変わらないため、この1年を通じて得た、専門分野における英語力は、私の将来のキャリアを支えるものになるだろうと思う。

日本人留学生との交流から得たもの

サセックス大学には、私の知る限りでも学部・大学院合わせて40人程度の日本人留学生がおり、とくに開発学関係の分野で学ぶ日本人留学生が非常に多い。留学中に日本人と過ごすことについては意見が分かれるが、個人的にはたくさんの人と知り合うと良いと思う。とくに、国際開発関係の仕事に興味があるのであれば、日本人留学生と交わらない手はない。私自身、彼らからたくさんの情報と刺激を得たし、仮にその情報がなかったら、現在のように具体的なキャリアプラン等を描くことはできていなかっただろうと思う。

これから留学する人へのメッセージ

これから留学する人へのアドバイスとしては、やはり英語力をできる限り上げておくということに尽きる。まず、日常会話に必要とされるスピーキング力、リスニング力について、個人的には、大学入学から渡航までの1年半、平均して1日1時間以上オンライン英会話のレッスンを受講していたこともあって、スピーキングにはそれほど苦労しなかったが、リスニングには思いの他苦労した。授業など1人が大勢に向かって話すきれいな英語では問題ないが、うるさい環境の中でスラングなども交えて複数人がする会話などにはなかなかついていけなかった。ニュースなどの英語だけでなく、映画などを通じて、日常的な英語にももっと触れておくべきだった。

もう1つの面は、学術的な活動に求められるリーディング力、ライティング力である。個人的には、渡航前にE2科目等を複数履修していたことが大いに役立ち、論文等のリーディングやエッセイの執筆にはそれほど苦労しなかった。留学中にはいろいろな不安やストレスが生じるので、そういった苦労は渡航前に分散しておくと、留学を余裕をもって楽しめると思う。

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