アラビア語
アラビア語は、アラブ世界の公用語であると同時に、国連の公用語の一つでもあります。一口に「アラブ世界」といっても、東はインド洋に面したアラビア半島のオマーンから西は大西洋に臨む北アフリカのモロッコまで、国の数は20以上。気候風土も歴史も、政治、文化も実にさまざまであり、宗教的にもムスリム(イスラーム教徒)のみならずキリスト教徒、ユダヤ教徒をはじめ多様な信仰が存在します。しかし、そうした多様性を貫いてあるのが、「アラビア語」という言語文化を共有する者としての、「アラブ人」というアイデンティティです。「アラブ人」とは、アラビア語という言語を自らの母語とする、あるいは、歴史的にアラビア語で培われた文化に自らの文化的アイデンティティを見出す者たちのことです。
言語学的にはセム系言語のひとつであるアラビア語は、長母音を除いて母音は表記されません。つまり短母音の場合は子音のみで綴られるということです。そして、3つの子音の組み合わせからなる3語根の動詞基本形を中心に、第10形まで派生形が展開し、その他の品詞もこの動詞基本形(3語根)から派生しています。これが、同じセム系言語であるヘブライ語とも共通するアラビア語の最大の特色のひとつです。
また、アラビア語の社会言語学的特徴として、アラブ世界の共通語であり読み書きのことばである正則アラビア語(フスハー)とそれぞれの地域における話しことば(アーンミーヤ)のダイグロシア(二言語併用)が挙げられます。私たちが授業で学習するのは、読み書きのことばであるフスハーです。
近代を支配してきた西洋中心主義的な価値観が再検討に付されている今日、イスラーム世界の人々とその文化を私たちが理解することの重要性はもはや論を俟ちません。そのイスラームを理解するうえでも、また、「イスラーム」が生きられている世界を理解するうえでも、イスラームの聖典アル=クルアーン(コーラン)の言葉であるアラビア語の基本的知識は欠かせません。
前期は「文法」の授業で、教科書に即しながらフスハーの文法を体系的に学習し、「実習」の授業では練習問題をこなしながら基礎文法を身につけます。後期の「文法」の授業では、児童用の物語を講読しつつ、前期に習った文法事項を確認し、その修得を図ります。また、後期の「実習」の授業は、ネイティヴの先生と連携しながらおこないます。リスニング、スピーキング、ライティングなど、アラビア語の総合的な力を養います。
しかし、異言語を学ぶとは、単に文法と語彙を覚えることだけを意味するわけではありません。授業では、その言語が「生きられている」世界について、その言語を話す人々がその地でいかなる生を紡いでいるのかについても学ぶことになるでしょう。
これまで慣れ親しんできたラテン文字とは異なる文字体系であり、言語系統もヨーロッパ系諸言語と異なるなどアラビア語のハードルは決して低くはないですが、その分、挑戦し甲斐のある言語だとも言えます。ぜひ、蛮勇をふるって、挑んでください。
全回生対象(初級)
アラビア語ⅠA・B(文法) |
Primary Arabic A・B 正則アラビア語基礎文法の習得(前期)、テクストの講読(後期) |
アラビア語ⅠA・B(実習) |
Primary Arabic A・B 文法、練習問題(前期)、リスニング・スピーキング・ライティング(後期) |
2回生以上対象(中級)
アラビア語ⅡA・B | Intermediate Arabic ⅡA・B |
アラビア語ⅡA・B(実習) | Intermediate Arabic ⅡA・B |