初修外国語について

本学では,英語以外の外国語を,一律に初修外国語と称しています。英語はほとんどの学生が大学入学時までに履修しているため, 既修外国語と称しており, それ以外の外国語は大学に来て初めて履修する学生が多いため初修外国語と称しています。
本学が提供している初修外国語は, ドイツ語,フランス語,中国語,ロシア語,イタリア語,スペイン語,*朝鮮語,アラビア語の**8言語です。
なお、外国人留学生は上記8言語に日本語を加えた9言語から履修する外国語を選択することができます。日本語については、こちらを参照してください。

* 大韓民国で使われている言語を韓国語と表現されることがあり,大学入試センター試験と本学の学生募集要項ではそのように記載されていますが,本学の全学共通科目では,南北を含め朝鮮半島で使われている言語を朝鮮語と称しています。
** ギリシア語とラテン語を学ぶためには, 全学共通科目の「人文・社会科学科目群」に該当科目がありますが, これらの単位は「外国語科目群」の単位にはなりません。

初修外国語の履修にあたって
初修外国語の科目編成
初修外国語の初級免除審査

初修外国語コース共通の目的

初修外国語コース共通の目的は「カルチュラル・インテリジェンスを高める」ことです。「カルチュラル・インテリジェンス」とは、異文化理解能力と重なるところが大きい能力概念ですが、従来の異文化理解能力と異なり、理解してから後のことも射程に含んでいます。つまり、単に異文化を理解するだけでなく、その結果として、文化的背景が異なる人々とともに働くことができるかを重視する考え方で、文化の枠を越えて協働する能力に焦点を当てた概念です。現在では、国外で働くこと、あるいは、国内で働いていても、同僚や上司・部下が異文化圏出身者であることは珍しくありません。この傾向は、業種を問わず、今後ますます一般化していくと考えられます。したがって、カルチュラル・インテリジェンスは、今後社会に出て行く皆さんに特に必要とされる能力と言えます。

各言語コースの目的は、この共通目的を前提としつつ、各言語特有のあり方を考慮した上で設定されています

各言語のコース目的

ドイツ語

ドイツ語は他のヨーロッパの諸言語とともに、ヨーロッパ文化の基本を形成してきた言語です。とくに日本では、明治以来、ドイツ語の修得を軸にしてヨーロッパ文化の摂取が進められてきました。医学用語の「カルテ」、物理学用語の「エネルギー」などは、そのような背景があって現に「日本語」となっているドイツ語由来の言葉です。また、ドイツ語は英語と同じ起源に遡る言語であり、文法も語彙も英語ととてもよく似ています。むしろ、ドイツ語の学習をつうじて英語の理解が深まる側面もあるほどです。ドイツ語クラスでは、このようなドイツ語を、現代の国際社会を理解するうえで不可欠の言語と位置づけ、ドイツ語の基礎の学習をつうじて、多文化社会を生きてゆく学生に必須の教養形成に資することを目指しています。

フランス語

フランス語はラテン語・ギリシャ語とともに英語の上層語彙を形成しているため、英語学習の一部には既にフランス語学習が含まれていると言うことができます。しかし、通常の英語学習においてその重層性を自覚することは少なく、その視点を獲得するためにはフランス語およびその背景となる文化を独立して理解する必要があります。フランス語クラスは、フランス語を英語と並ぶ現代の国際社会の基礎を形成するものと位置づけ、画一的になりがちな英語文化を相対化する手段として捉えています。その上で、文系クラスにおいてはフランス語に基づく学術・文化に直接アクセスするための基本を修得することを目的とし、理系クラスにおいては、より実用的なフランス語学習を通して得られる複言語・複文化主義的思考を養うことを目的としています。

中国語

中国語コースの目的は、「口頭語・書面語の双方にわたる基礎的な中国語運用能力を修得し、さらに中国文化・中国文化圏に対する理解を深めること」にあります。中国語の場合、本学の一年間の初級カリキュラムの履修によって、日常的な話題について中国語で簡単なコミュニケーションをする能力(=日常的話題における基礎的な言語運用能力)を身につけることは十分に可能です。また、口頭語(=話し言葉)における言語運用能力に止まらず、書面語(=書き言葉)も含めた包括的な中国語運用能力の修得を目的とする点に、京大・初級中国語カリキュラムの特色があります。これは、中国文化・中国文化圏に対する理解を深めるためには、書面語で書かれた文献の読解が欠かせないからであり、本カリキュラムの目的が口頭語における言語運用能力に限られないことと、表裏一体の関係にあります。

スペイン語

京都大学における教養・共通科目としてのスペイン語コースの目的は、スペイン語学習を通じて、現代世界の中での自分の位置を確認することです。 「教養」とは、世界における自分の位置を知るための地図です。学習を通じて各自が作り上げていく「教養」地図の一部を、スペイン語学習を通じて構成していきます。また、地図だけがあっても、現在地がわかっていなければ、人生の道のりを考えることができません。現在地をつかむため、スペイン語圏の社会や文化を参照しつつ、自分という存在を社会的に認識するという作業も行います。スペイン語圏は地理的に広範囲にまたがると同時に、内部に大きな文化的・言語的・社会的・歴史的多様性を抱えています。したがって、自分という存在を相対化するために適切な「なにか」がみつかる可能性も比較的高いと言えるでしょう。そうした特徴を活用しつつ、「教養」地図に自分の現在地を書き込み、自分の将来についても考えてみましょう。

イタリア語

イタリア半島はヨーロッパの歴史・文化において重要な役割を果たしてきた地域です。ルネサンス期にはイタリア人が西欧文化のけん引役として、絵画、彫刻、建築、自然科学、文学、音楽など多方面にわたって活躍しました。この文化的伝統は、今日まで非常に大切に受け継がれており、その影響は一見関係のない分野にまで及んでいます。このような継続性は、イタリア語の重要な特徴でもあります。現代のイタリア語と、14世紀に使われていたイタリア語(トスカーナ語)の間には、わずかな違いしかありません。少し訓練をつめば、授業で学ぶ現代のイタリア語の知識をもとに古い時代の文章を読むことができるようになります。イタリア語を学ぶということは、今日のイタリアだけでなく、ヨーロッパ全体に大きな影響を及ぼしてきたイタリアの伝統をダイレクトに知ることを意味しています。イタリア語コースの目的は、このような可能性をもつイタリア語の基本を身につけることにあります。

ロシア語

今日、ロシア語を母語とする人々の数は2億人に近いと言われています。日本語の母語話者数よりは多い程度ですが、大きく異なるところは、ロシア語は、たとえば国連での公用語の一つとして使用されるなど、国際交流の場で大きな役割を果たしているという点にあります。今もなお、世界各地で5億人に達する人々によって、様々な場面で用いられています。また、ロシアは日本の隣国であり、18世紀以来の交流があります。ロシアやロシア語を巡るこうした事実は、普段はあまり意識されることがありません。だからこそ学ぶ意義も深いと言えます。実際には日本と近く深い関係を持つにも関わらず、あまり知られていないロシア、そのロシアについて知り学ぶことこそが、極度に単純化された世界観に流されずに現実に即して社会を見ること、ひいては世界の多様性を理解することにつながります。こうした考え方に基づき、基本的なロシア語運用能力の基礎を習得し、これによりロシア文化理解の第一歩とすることをコースの目的としています。

朝鮮語

朝鮮語コースの目的は、「朝鮮半島および日韓・日朝関係を文化的・社会的・歴史的な側面において理解し、東アジアにおいて生きていくための自分なりの世界観を身につけるための語学教育」(世界観養成語学教育)です。広義においては「異文化理解」となるでしょうが、単に「異なる文化」を「理解」する、という意味ではなく、自明のものとされがちな「自文化」を相対化し、近接した他者との複雑な関係性のなかでそれを解釈したうえで、今後自らが朝鮮半島とどのような関係をアクチュアルに構築すべきかを考究するために必要な、最低限の語学力を養成することが目的です。

アラビア語

アラビア語は、世界で3億人以上の人々によって話されている、話者人口では世界第4位のメジャー言語であり、地理的には、西アジアから北アフリカまで、二大陸にまたがる広域言語です。歴史的には、世界の先進文明であったイスラーム文明の共通語であり、現代的には、18億人が信仰するイスラームの聖典の言語です。そのようなアラビア語を教養・共通科目として学ぶことは、私たちの思考を規定している自文化中心主義と西洋中心主義を相対化し、私たちが生きるこの世界を、歴史的かつ同時代的に、よりダイナミックなパースペクティヴにおいて認識するための視点を手に入れ、それを深めることにつながります。

アラビア語コースは、アラブ・中東・イスラーム世界で人々によって “生きられている” アラビア語を、私たち自身の舌とからだで体験し、その内在的論理の一端を私たち自身が実際に生きてみることを通して、私たちの世界認識と歴史認識を深めることを目的としています。

各外国語の紹介

初級外国語担当教員による座談会

初修外国語担当教員による座談会 なぜ初修外国語を学ぶのか?どの言語をどうやって選ぶか?