宗教学ゼミナール 2012年度

[授業の概要・目的]
西谷啓治の主著とされる『宗教とは何か』の最初の二つの論文を精読し、共に思惟する。西谷は西田幾多郎の弟子であり、日本を代表する宗教哲学者である。『宗教とは何か』という著作は多くの言語に翻訳されて、世界中で読まれている。この二つの論文には、京都学派の哲学における宗教理解のエッセンスが含まれているとともに、現代世界と自己自身のあり方についての根源的な問いが含まれている。それらを読解することを通して、宗教という事象についての理解を深める。

[授業計画と内容]
第1週 オリエンテーションと『宗教とは何か』という著作の紹介
第2-8週 第一論文「宗教とは何か」(1~7節)を読み進める。
第9-13週 第二論文「宗教における人格性と非人格性」(1~5節)を読み進める。
第14週 まとめと全体討論

第1論文「宗教とは何か」は、「宗教はなぜ必要か」という問いが内容する問題点を論ずるところから始まり、宗教的要求のみが宗教の何であるかを理解する鍵であるということが論じられる。第2論文「宗教における人格性と非人格性」は、宗教と科学の問題を扱い、現代世界における宗教のあり方を追究する論考である。いずれも非常に高度な内容が、わかりやすい表現で述べられている。
いずれの論文も毎週1節のペースで読み進める。最初に担当者を決めて、内容の要約と問題なる論点について報告する。受講生全員がその授業で扱う箇所を事前に読んであることが前提であり、内容についての質疑や議論を中心とする。

[成績評価の方法・基準 ]
平常点と学期末のレポート

[その他(授業外学習の指示・オフィスアワー等)]
授業で扱う箇所はそう長いものではないので、授業前にその箇所を必ず読んでおくこと。

氣多 雅子

所属:文学部・文学研究科
職名:教授
生年:1953年
出身地:静岡市
専門分野:宗教哲学