新々知の技法を作る 2012年度

新々知の技法を作る
New^2 Academic Skills for the Human Sciences

東京大学出版会「知の技法」を読み、そこに書かれている内容をもとに議論し、編者(小林康夫・船曳健夫)の意図を探る。次の段階として、東大の文系を、京大の理系に置き換え、教員ではなく、学生が「新々知の技法」を編むとしたら、何ができるのかを議論する。最後に、もしここまでの企てが成功したならば、教員の知の技法を盗みに京大理学のフィールドに出ていく。 授業の科目名について注意しておく。「新々知の技法」という題名は丸谷才一の「新々百人一首」からのもじりで ある。内容的には、文系を理系に置き換えるという意味では本歌取りというべきであり、その意味での英訳名は Creating "Academic Skills for the Natural Sciences" とするべきかもしれない。しかしながら、数学者としてはNew^2というフレーズをtitleに入れたかったので、the Human Sciencesをそのまま残すことにした。
「知の技法」は東京大学教養学部で1993年度より文科系の1年生の必修科目「基礎演習」のサブテキストとして使用された。「基礎演習」は東大文系のポケゼミではないかと推察する。 授業では、初回に、ひとりひとりがこの授業で何をしたいか、何故そのように考えたかを述べ、それに対して互いの意見を出し合う。2回目は、小林氏による第1部と船曳氏による結びを読んで、編者の意図について議論する。 次に、残りの20編の文章のうち、授業で取り上げないものを選び、その理由をまとめる。つづいて、残った文章を順に講読し、そこに書かれている知の技法とは何かについて議論する。最後に、もう一度、編者の意図と書かれた内容を比較検討し、評価する。ここ迄が授業の概要・目的の第1段である。 第2段と第3段については、第1段が終わった時点で、どのように進めるかの議論から始める。実施するかどうかも含めて詳細は未定である。
授業開始迄に「知の技法」を読んでくること。どのような読み方をするかは各自に任せられる。船曳氏による「結び」は、初回の授業に関連するので、そのつもりで読んできてほしい。
なお、写真は昨年の春の数学教室の中庭です。本人の写真の方は、だいぶ前のものなので、本物はこうはいきません。
なお、テキストを見たい人は、北部構内の理学部3号館の数学教室1階図書室にくると
見ることはできます。貸し出しはしていません。

三輪 哲二

理学研究科 教授