発生再生ゼミナール 2012年度

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 我々ヒトを含むほ乳類の体がどのように作られるのか、どのように緻密に機能しているかについて、発生生物学・細胞生物学の革新的成果をもとに解説し、現代生命科学についての理解を深めていただきます。その上で、将来の再生医療を視野に入れた再生医学・生物学について、少人数ゼミの特徴を生かしたリレー講義・討論に積極的に参加していただきます。

 特に、細胞、組織、個体レベルの構造がどう作られて機能しているかについて解説するとともに、幹細胞や再生医学などの最前線研究について触れる。次のテーマについて、文献読解や最新研究内容の紹介を行う。
(1)ほ乳類の胚発生
(2)多能性幹細胞(ES/iPS細胞)の特質と再生医学への利用
(3)軟骨や血管系を中心とした細胞分化と組織構築
(4)筋肉組織を中心とした細胞分化と組織構築
(5)造血系などの幹細胞と組織形成を制御するシグナル分子
(6)(特に移植免疫を中心に)免疫系の働きと制御機構

 以下、講義内容についての短いコメントです。
「多能性幹細胞(万能細胞とマスコミでは称されている)に関する研究と医学や新薬開発への応用について解説します。京大マンがプロジェクトにも紹介されている。京都大学学術情報リポジトリからダウンロード可能 http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/Icon new window 」 中辻憲夫
「胚性幹(ES)細胞や人工多能性幹(ES)細胞の幹細胞生物学を担当。ES細胞やiPS細胞の未分化性維持に関わる分子機構、体細胞がiPS細胞に再プログラム化される仕組み、多能性幹細胞の応用基盤技術を紹介する。」多田高
「ES細胞は、in vitroで多能性を保持したまま事実上無限に増殖できることから、細胞移植医療に用いる機能細胞の供給源として期待されている。ES細胞が多能性を保持する分子機構、細胞分化のメカニズムについて、またあわせて安全な臨床応用へ向けての取り組みについて解説する。」末盛博文
「パーキンソン病を対象として、神経難病に対する細胞移植治療に向けた取り組みについて紹介します。ES, iPS細胞からの神経細胞誘導、細胞移植における課題などの現状と展望について解説します。」高橋淳
「生殖細胞系は、特有の細胞分裂システム(減数分裂)と同調して配偶子の形成をもたらす。そこには、雌雄で大きな違いがある。さらに、つくられた配偶子は、生殖路内での成熟プロセスを経ないと受精できない。これらの素過程について概説し、遺伝子改変動物の作製や補助生殖医療といった応用面についても言及する。」近藤玄
「陸上で生活している脊椎動物の骨・骨髄の多彩な役割やその形成機構について解説するとともに、筋肉、骨などの運動器のコンポーネントを連結する腱・靱帯の組織形成
に関する最近の進歩について紹介する。」宿南知佐
「軟骨を中心とした運動器官Locomotive Organの形成と再生について解説すると共に、ヒトのライフサイクルの変容とそれがもたらした高齢化社会の到来をキーワードに再生医学を考える。」開祐司
「(個々人の再生医学・再生医療に関する理解を深めるため)再生医学・再生医療研究に関する可能性や是非・問題点等に関して議論する。」山下潤


開 祐司 他