空を観る・海を観る 2012年度

大気や海洋の現象は、大きいものは地球を巡るものから、蚊取り線香やたばこの煙のような運動まで、空間的にはとても広範囲に及びます。時間的にも、気候変動、年々変動、季節変動、日変化に見られるように、多種多様なスケールの現象が含まれています。さらにそれらはお互いに独立ではなく、関係しあって、複雑な現象を引き起こしています。

地球上のエネルギーの源は、はるか太陽からの放射です。このエネルギーは大気を素通りして、地面や海面にもたらされます。それが、熱や水蒸気の形で、再び大気に戻されることにより、大気の温度が保たれ、高気圧や低気圧、台風、竜巻、集中豪雨などの気象災害の原因となる大気現象を引き起こします。この地上や海面からの熱や水蒸気の輸送課程を実際に観測します。

空から雨が降り、水たまりが川になり、海に流れていきます。その途中で、水は蒸発し、水蒸気となって上昇し、また雲ができます。こんな、地球の上の水の循環を調べてみましょう。このゼミでは、紀伊半島の南の白浜と潮岬にある、京都大学の施設で、気象観測、海洋観測をします。白浜では、船に乗って、沖にある観測塔に登って、観測をします。また、船で移動しながら、海の中の温度、塩分の濃度を測ります。潮岬では、地上や海面近くの大気を、精密な風速計や温度計を用いて測定する、風船に付けたラジオゾンデといわれる測器を用いて、高い空の大気の状態を測ります。これらの観測から何がわかるのでしょうか?
いろいろな、大気と海洋のシステムを学ぶとともに、実際の観測を通して、大気と海洋の息づかいを感じてみましょう。

林 泰一 他

防災研究所
流域災害研究センター
流域圏観測領域