ゼミナール「活動する宇宙」 2013年度

・ポケゼミのあらまし
本ゼミは、宇宙をテーマに、理学的なものの考え方について学ぶ目的で10年以上前から開講しています。近年の多波長にわたる観測により、宇宙は永劫不変のものでなく、激しく活動しているようすがが明らかにされてきました。また、生命の起源も含め、宇宙の進化についての理解も深まってきました。毎年、理系・文系問わずさまざまな学部から10名弱の学生が集まり、入門的な教科書の輪講や京都大学飛騨天文台での実習を通じ、和気あいあいと議論しながら学びを進めています。

・テキストは難しい?
前期には入門的な教科書の輪講を行います。使用する教科書は、柴田他編の『活動する宇宙』とウルムシュナイダー著の『宇宙生物学入門』。内容は、太陽における爆発現象、星形成、銀河磁場、宇宙ジェット、惑星の誕生、太陽系外惑星、地球上の生命とその起源など。学生は中から興味のある1章を選べ、1時間かけてゼミ発表をします。
シラバスに「(今)わからない(知らない)ということは、恥ずべきことではない。(今)わかろうとする態度を重視する」と書きました。実際、このテキストは入門的とはいうものの、1回生には難しいです。高校までの勉強とは違い、右も左もわからないところで孤軍奮闘することが要求されます。それでも、皆がんばって、先端の研究はどのように進められるのか、どのような疑問にどのような手法で対処し道を切り拓いているのか、理解しようと努めています。ゼミの最中、議論の過程で教員によるスライドショーが始まったり、教員二人による研究談義に花が咲いたりします。これも学生には楽しみのようです。

・飛騨天文台合宿
夏休みに2泊3日で行う飛騨天文台合宿は、学生にとって最も楽しい経験です。飛騨天文台の施設を利用し、昼間は世界有数のドームレス太陽望遠鏡を用いた太陽の観測、夜には東洋一の屈折望遠鏡を用い、惑星や星雲などを観望しています。「天の川を生まれて初めて見た」、そのような感想も聞かれます。また、各人、任意に選んだ天文に関するテーマで発表をしてもらっています。毎回、「宇宙農学」や「宇宙医学」といった融合分野を始め、ユニークな話題が披露されています。合宿の最後の夜には、自由な意見交換の時をもっていますが、「テキストは最初難しかったが、先生の話を聞いて、何となくわかったような気がした」「教員2人のやりとりがおもしろかった」「自分は理学部ではないが、将来、今回の学びを活かして宇宙に関わる仕事をしたい」といった感想が出てきます。理学部生の中には教員について実際に研究活動を始める人もおり、学会発表やNature誌の掲載論文に共著者として名前を連ねる人まで出てきました。はば広く、かつ最先端まで、そんなアカデミックな雰囲気を味わえるゼミです。

担当教員

理学研究科
 教授 柴田 一成
 教授 嶺重 慎