アジア途上国の水環境・衛生問題 2013年度

バングラディッシュのスラムのトイレ

 明日の生活のための水の確保が心配になる。野外排泄をしたすぐ近くの水を生活に利用する。町を流れる川が真黒で異臭を放つ。こうした水衛生・環境問題は日本にはほとんどありませんが,多くの開発途上国でこうした問題が日常的にみられます。現在、世界には十分量のきれいな水を手にすることができない人が7.8億人,適切な衛生施設(トイレ)を持っていない人が25億人おり、水と衛生の問題は国連ミレニアム開発目標などにも挙げられた世界的課題となっています。経済の急激な発展や人口の増加に伴い、未処理の生活排水や産業排水等の放流による水質汚濁、あるいは水需要の増大による水不足が深刻化しています。このポケゼミでは、このようなアジア途上国の水環境問題を、アジア途上国から来た留学生と英語で討議してもらうことを目的としています。
 これを提供する地球環境学堂環境調和型産業論分野には、博士課程を中心にアジアからの多数の留学生が学んでいます。ポケゼミでは、かれらにそれぞれの国の水環境・衛生問題を語ってもらうことで、アジア途上国の実情を理解してもらうと同時に、その講義とコミュニケーションを通じて、英語に触れ、使う機会を学生の方々に提供しようとするものです。留学生も外国語として英語を使っており、苦労して習得しています。また、英語のうまい留学生、やや苦手な学生もおり、多くの英語を聞くことで、コミュニケーション言語として英語を使うことの大切さを理解してもらえるものと思っています。
 この「アジア途上国の水環境・衛生問題」は平成23年度からの提供で、平成25年度で3回目となります(ただし、1,2回は工学部提供、今回は地球環境学堂提供。担当教員は同じ)。年度によって学生が変わるため、対象国は下記に示すように若干変遷しています。
平成23年度:ベトナム1、タイ1、マレーシア1、ネパール1、スリランカ1、グァテマラ1
平成24年度:ベトナム2、タイ2、マレーシア1、ネパール1
平成25年度:ベトナム3、タイ2、ネパール1、中国1
(数値は回数で、複数回の場合は別の留学生が発表)
 本ポケゼミは、留学生による各国の水環境・衛生問題の紹介を中心にしていますが、それ以外に環境問題の基礎知識の講義もありますので、専門的知識は不要です。これら発表をもとに、履修学生の方々には英語で自分の興味をある環境問題についてパワーポイントでプレゼンテーションをしてもらいます。プレゼンテーションの仕方についても、そのための講義や演習の時間を設けています。
 アジア途上国と英語でのコミュニケーションに興味を持つ学生の方々を歓迎します。

担当教員

地球環境学堂 環境調和型産業論分野
 藤井滋穂、教授、1955年10月11日、名古屋市、環境工学
 田中周平、准教授、1975年5月30日、大阪市、環境工学
 原田英典、助教、1979年3月20日、名古屋市、環境工学
(左から担当教員、役職、生年月日、出身地、専門分野)