熱帯雨林入門 2013年度

一年中十分な降雨と温暖な気候に恵まれた熱帯雨林は地球上でもっとも複雑な生物群集の一つとして知られています。生き物が好きな人,生物多様性に興味を持つ人には一度は訪れてみたいあこがれの地である一方,近年では急速に減少する熱帯雨林そのものが地球環境を考える上で重要な問題となっています。熱帯に位置しない日本では,このどちらかのイメージで語られることが多いのではないでしょうか?

京都大学では私も含めて,さまざまな分野の研究者が熱帯をフィールドとして研究をしています。本ゼミで教科書として予定している『熱帯雨林を観る』(2003)も,京都大学大学院生として熱帯での研究を行った著者による熱帯雨林の入門書です。

本書は次のような構成となっていて,単に生態学的な視点からだけでなく,そこに生きる人々とその文化を育む環境としての熱帯雨林,そしてその保全をどのように考えるべきかについても書かれていますので,生物,保全,社会のどの分野に興味のある人にもきっと参考になると思います。
 第一部 さまざまな熱帯林を観る
 第二部 生物の多様性が生み出され、維持されるしくみ
 第三部 住民にとっての熱帯雨林
 第四部 熱帯雨林の保全

ゼミは参加者がそれぞれ担当のパートを決め,順番を決めて口頭発表し,全員でその発表をもとに議論するという形式で進めていく予定です。私の熱帯におけるフィールド調査の様子も紹介したいと思います。

永益 英敏

総合博物館,准教授
1961年生
長崎県出身
専門分野:植物分類学,熱帯植物学