葉っぱの上のミクロコスモス入門 2013年度

餌ハダニを攻撃捕食するカブリダニ

【授業の概要・目的】
 多くの自然生態系下では、生き物の「一人勝ち」は許されない。一旦、個体数が増えると、多かれ少なかれ環境抵抗と呼ばれる圧力がかかり、個体数の増加には歯止めがかかる。その主要因のひとつが、生物間相互作用という生物学的要因である。
 植物の葉上という小宇宙においても、日夜にわたり生物間の争いが繰り広げられる。本セミナーでは、そこで観察される生物群集や生物間相互作用を学習し、生物社会の成り立ちを理解する。これらの知識の獲得は、地球環境の将来を構築する上で大きな参考となる。

【授業計画と内容】
 以下のような課題(観察等)について、課題の進行状況を配慮しながら進める予定である。

○ ハダニ類(農業上で大害虫となる種を含むグループ)とその天敵類(主要な天敵であるカブリダニ類を使用する予定)を主な材料として、植物葉上(マイクロコスモス)で繰り広げられている競争や「食う-食われる」の関係、また形成される群集の構成や変遷、働きについて学習する。実際の観察の機会をふんだんに取り入れたセミナーとなる。
 具体的には次のような計画で進めるが、植物やダニの発生状況に合わせて内容が変化する可能性がある:

 1.植物ダニ群集の構成と生物間相互作用に関する説明(3回)
 2.ダニ室など、自然発生している植物ダニと植物との関係の観察(3回)
 3.ダニ群集の食う-食われる関係やそれを変化させる要因の実験的観察(4回)
 4.ダニ群集を変化させる環境要因の実験的観察(4回)

○ これらの学習と観察を通して、生物社会の成り立ちを考える。また、餌や生息場所として植物がどのように利用されているか、植物はどのような戦術を駆使して被食されないように対応するか(時には、天敵を利用する)などの理解も深める。
(北部キャンパスの農学部総合棟での開催となるので、移動時間の確保やセミナーのスタイル等に関しては、受講生と相談する予定です)

【成績評価の方法・基準】
出席状況を重視し、レポートと受講姿勢を加味して評価する。

【受講定員】
6人

【学生の選抜方法】
無作為抽選

【履修要件】
生物の行動観察に興味を持つ学生諸君の参加を期待する。

【教科書】
使用しない

【参考書等】
授業中に紹介する

【関連URL】
http://www.eco-inf.kais.kyoto-u.ac.jp/Icon new window

担当教員

農学研究科 教授  天野 洋
農学研究科 准教授 刑部 正博