東南アジア社会のダイナミズム入門 2013年度

 このポケゼミは、とにかく東南アジアを知ってもらおうというのが目的です。ご存知のように、最近、日本ではとりわけ経済的観点から東南アジアへの関心が高まっています。私としては、このポケゼミを通じて、そうした経済的側面も含めて、多様な視点から東南アジアのかたちを捉えてもらいたいと思っています。
 私自身は、主にインドネシアに調査に出かけていますが、ここ最近の都市部の変容ぶりには眼を見張るものがあります。停滞気味の日本社会からインドネシアにやってきて、そのダイナミズムに触れてみると、羨ましいぐらいの感じもあります。中産階層の生活スタイルは場合によっては日本以上に消費傾向が強い気もします。
 こうした東南アジアの魅力を是非とも皆さんに知ってもらいたいと思っています。とはいえ、ポケゼミですので、皆さんにはしっかりと本を読んでもらい、発表してもらい、議論をしてもらいます。前半は東南アジアに関する一冊の本をみんなで読みます。この本について少なくとも一回は参加者に発表してもらうことになります。その間に、参加者の興味を確認し、その興味にあった文献を見つけていくようにします。そして、後半は、参加者が決めたテーマにそって発表を行なってもらいます。
 もちろん一回生の方が対象ですので、レジュメの作り方や発表の仕方が分からないということが普通です。だいたい発表までに一人あたり二回ほど事前に会って指導を行います。これまでの経験ですと、事前にしっかり準備をすることでレジュメの内容や発表の仕方が大幅に良くなります。この変化にはいつも驚かされています。
 これまでの参加者の反応ですが、多くの授業に出席しながら、自分で議論をつくり上げるために本を読んだりすることになるので、負担が多いという声もありました。ただ、その分、発表が終わった時の充実感はかなり高いようです。また、日本の学生はおとなしいという印象があり、私もそう思っていました。しかし、一回のゼミで少なくとも二回は全員が質問をすることを義務付けているので、参加者の皆さんが徐々に積極的になっていくので、何かのきっかけがあれば誰でも議論に積極的になると痛感するようになりました。発表してもらう本の内容は、学部三回生、四回生や修士課程の学生向けのものであることもありますが、皆さん、十分に理解して発表するので感心することも多いです。今年度も優秀な、そして、面白い学生が参加することを期待しています。

岡本 正明

所属:京都大学東南アジア研究所
職名:准教授
生年:1971年
専門分野:東南アジア政治(都市の政治、食料の政治)
趣味:釣り(、最近はフライフィッシング)