医学、医薬ビジネスや政策のための統計学 2014年度

 いま医療、医薬産業や政策において最も求職のある人材は、医療系データの解析や臨床研究の立案や支援に関わる生物統計学の専門家であるが、日本には圧倒的に人数が足りず、企業や大学、行政でも人材が渇望されている。そこで、私たちは、医療職以外の理学系(とくに数学、物理学)、工学、農学、薬学系の学生に生物統計学や疫学を身に付けていただき、将来この分野にどんどん参入してほしいと願っている。医学系の教科書には統計学の理論や統計手法の使い方が書かれているが、これらは応用力に乏しく、現場ではあまり役に立たない。
 本ポケットゼミでは、社会健康医学系専攻の教員による講義と実習を通じて、応用分野としてどのような医学研究が行われており、どのように医療の向上やビジネス、政策に結びついているのかを学ぶ。応用の視点から生物統計学の端緒に触れることは、皆さんのキャリア形成にきっと役立つはずである。

授業で扱われるトピックの例:
・医療産業と医薬品や医療機器の開発、医薬政策
・医療や健康のビッグデータの解析と費用対効果
・医学論文で行われている「比較」は妥当なのか?
・仮説検定とサンプルサイズの関係は?
・栄養疫学、がんの疫学
・ヘルス・コミュニケーションとヘルス・リテラシー

川上 浩司 他

【川上浩司 プロフィール】
医学研究科 薬剤疫学/教授
米国連邦政府食品医薬品庁(FDA) 生物製剤評価研究センター(CBER)にて細胞遺伝子治療部臨床試験(IND)審査官、研究官を歴任し、米国内で大学、研究施設、企業からFDAに提出された遺伝子・細胞治療、癌ワクチン等に関する臨床試験の審査業務および行政指導に従事。東京大学客員助教授を経て、2006年に33歳で京都大学教授。様々な医療系のビッグデータを解析する臨床疫学研究、薬剤疫学研究を主導している。