カオス・フラクタル・非線形科学への誘い 2014年度

 地震や集中豪雨がいつどこで起きるのか,十分に早い時間に予測できれば,多くの命が犠牲にならずに済みます.天気予報の場合は,気温や湿度といった気象要素を観測し,その時間変化を与える数式に観測値を代入し,未来の値をコンピュータの力を借りて予測します.
 しかしながら,時間変化を与える数式がはっきりわかっていても,観測値に含まれるわずかな誤差があっという間に増大し,未来の予測が困難になることがあります.これをカオスといいます.
 株価・為替の時間変動のグラフやリアス式海岸など世の中には,ぎざぎざした図形がたくさんあります.グラフの横軸(観察する時間)の幅や地図の縮尺を大きく変えてもぎざぎざの度合いが変わらないものをフラクタルといいます.
 カオスとフラクタルは密接に関係していますが,受講者のみなさんに,電子レンジと鉛筆の芯で作成したプラズマ作成や振り子のおもちゃ等を使った卓上実験,ならびに,コンピュータを用いたシミュレーションを体験して頂き,カオス・フラクタルの基礎や実際の現象との関わりについて理解を深めて頂きます.
合わせて,関連分野の平易なテキストを輪読します.

宮崎 修次

京都大学大学院情報学研究科・講師.
専門は非線形物理学・非平衡統計力学.
長崎市出身.
小学生の頃は天体観測をしたり,天気図を書くのが好きでした.
高校生のときは,地学部に所属して,太陽黒点・流星群の観測,気象観測,地質巡検を部員のみんなと楽しんでいました.
特にこれといったきっかけはありませんが,いつの間にか,物理学の研究者になっていました.