農業体験実習ゼミナール  2014年度

【授業の概要・目的】
 日本農業の今の姿は、国内で作れる農作物を輸入し、多くの農地を遊ばせている。この現状について考えるとき、日本の農業が今の姿となった過程をみてゆくことが重要と考え、ポケットゼミを開講する。日本の農業は、モンスーン・アジアという立地のもとで成立し、戦後の農地改革とその後の経済発展などにささえられ変容してきた。ゼミでは、イネの生育と生育環境(立地)を縦糸に、農業の機械化と化学化、品種育成および作物の生産現場である圃場などを横糸にして農業の変容過程を講義形式で解説し、縦糸と横糸について体験実習を行う。

【授業計画と内容】
 4課題の事前講義(食味体験を含む)を京都大学農学部農学生命棟セミナー室1で行う。2泊3日の体験実習を奈良県内の農家において実施する。

*事前講義
①イネの成長:栽培イネの成立、イネの一生について説明し、稲作がモンスーンアジアの社会性に及ぼした影響について考える。
②栽培管理その1:肥料、農薬の利用の歴史、その長所・短所、および合理的利用法を解説し、水田において農薬・肥料の散布法の進歩について考える。
③栽培管理その2:農業機械の発達史を解説し、その重要性について考える。
④農作物の品質:コメの利用法と品質、および品質評価法を説明し、炊飯米の食味試験を体験する。

*2泊3日の体験実習
体験実習の内容は開講時期で変わるが、畑または水田での手取り除草、畑または水田での肥料散布、野菜の収穫・調整、野菜の移植・播種、加工と販売などを行う予定である。

*宿泊形態
宿泊場所は民間の宿泊施設(食事は自炊、風呂とトイレ付)です。

稲村 達也 他