知識の修得と活用―そのメカニズムを検証してみよう― 2014年度

大学に入学した諸君は、本格的に「学問」に取り組むことになります。
「学問」と高校までの「勉強」は、どこが違うのでしょうか?
学問とは、単なる知識や過去の事例の集積(つまり、覚えるということ)にとどまらず、それらの活用による新たな知の創作、発見である、と私は考えます。
では、人間はどのようにして知識を獲得し、どのようにすればそれを活用することができるようになるのでしょうか?
そのヒントを自ら見つけて頂きたい、というのがこのゼミの目的の一つです。
学問を身につけるためには、俯瞰的に事象を観察し、同時に目標を設定してロジカルに戦略?戦術を考えていくことも非常に大切になります。これは学問のみに限らず、企業生活を含む社会生活においても非常に大切なことです。
こういった能力を養うトレーニングを行うことも、このゼミの目的の一つです。
本ポケットゼミでは、上記の目的に立ち、多くの大学及び社会で戦略?戦術的思考を醸成するために活用されている「囲碁」を用い、知識の習得と活用のメカニズムを検証しつつ、俯瞰視と総合的判断能力を養って頂くつもりです。
囲碁の局面の一例を写真に示します。
囲碁のよいところはたくさんあるのですが、必要な知識を身につけ、それを活用して自らの着手を決定する過程を、全て自らの責任の中で行わなければならず、その結果は全て自分に帰ってくる点が、上記の目的達成のために特に役立つと考えます。
授業を進める中では、単なるゲームの知識獲得ではなく、知識と修得と活用には判断と責任が伴うことを理解して頂き、さらには俯瞰視に基づく論理的思考(ロジカルシンキング)が身につくよう工夫していくつもりです。
なお、囲碁の用具、教材などはゼミの場で貸与しますので、準備する必要はありません。また、本ポケットゼミでは囲碁の修得過程を教材にすることから、囲碁について相当の知識と力量を既に有している者は、受講の対象外とします。

年光 昭夫
1949年 東京都
専門:有機合成化学
趣味:囲碁、スキー、ゴルフ