政策のための科学入門 2014年度

研究ベース学習におけるアクティブラーニングの実践の様子です。本授業では、主役は学生です。
全学共通教育国際学生シンポジウムでの講演終了後の集合写真(全学共通教育国際学生シンポジウムについては、Googleで「全学シンポ」というキーワードで検索してください)です。英語での講演を終え、みんなは、充足感のあふれた、いい表情をしています。

みなさん、はじめまして! わたしは、全学共通教育において、研究活動を通して科学的方法を学ぶ「研究ベース学習」を実践しています。

2004 年度において京都大学では,教育交流会を立ち上げ、学生と教職員が協力して初年次教育のデザインを行いました。「研究ベース学習」開始のきっかけは,教育交流会学生委員の一声「学生と教職員が一緒になって授業を創っていったら面白いんじゃないか!?」でした。この声をきっかけに,〈学生と教職員が一緒に授業を創る〉というコンセプトに賛同し,実践しようという意欲のある人たちが集まりました。2004 年8 月~ 2005 年3 月に「授業はどのようなものにするか」「どのように進行するか」といった論点で何度もミーティングを重ね,その結果決定した授業コンセプトは「1年生のうちから〈研究〉というものに触れて、科学的方法を学ぼう!」という魅力的なものでした。この授業の目的は,研究の世界を経験し,科学的方法を学び、自分でやりたいことを見直す場,すなわち自分探しの場を提供することでした。これらの目的を達成するために,授業では,〈論文の形にまとめ、口頭発表すること〉を目標にしました。ここに「研究ベース学習」の原点があります。学生の研究テーマは様々でしたが、政策につながるものが多かったと思います。

2010年より、「研究ベース学習」の成果は、全学共通教育国際学生シンポジウムで発表されるようになりました。500名収容の時計台ホールで、英語を使って研究成果を発表する姿は大変頼もしく思います。教育交流会開始から10年を経て、ポケゼミの枠組みで「研究ベース学習」の授業を開講できることを喜んでおります。みなさんといっしょに、みなさんを取り巻く環境の明るい未来のために、科学的な手法をいっしょに学びたいと思います。

なお、本学の大学院では、2013年より、科学技術の倫理的・法的・社会的問題(ELSI)に関する研究を基盤として公共的関与の活動と分析を行い、学問諸分野間ならびに学問と政策・社会の間をつなぐことを通じて政策形成に寄与できる人材を育成するために「政策のための科学」教育プログラム
http://www.stips.kyoto-u.ac.jp/Icon new window
を実施しています。本授業は、その入門的な役割を果たします。

小山田 耕二(こやまだこうじ)

国際高等教育院/教授
1960年 兵庫県神戸市
専門分野:研究室は工学研究科電気工学専攻情報メディア工学講座情報可視化分野に属しています。専門分野は、ひとことでいいますと、可視化です。世の中でそのままでは見えないものを見えるようにして、思考を深めたり、対話を促進する技術について研究しています。最近は、人間の認知構造の可視化に興味があります。