刑事法入門 2005年度

■テーマと目的
 犯罪や非行に対応する刑事法制度の概略を理解し,そのあるべきすがたを考察する。犯罪や非行がニュース報道で取り上げられない日はないが,そこには,報道する側の取捨選択,物語構築とともに,多くは警察に始まる刑事機関の諸活動が介在しており,その根拠規定として,刑法,刑事訴訟法,少年法などの刑事法がある。犯罪事件報道等や犯罪・非行の理解,刑事システムの批判的考察には刑事法的知識が不可欠である。

■ゼミの進め方
 新聞やニュースで報道された具体的事件を選んで,その刑事法的側面を検討することと,一年間の統計的数値のなかにそれを位置づけて全体的側面から,刑事法制度の運用とあるべきすがたを考察する。参加者各自の興味に応じて,具体的ニュースを取り上げるか,配付資料に基づいて統計的全体像や制度を扱うかを選んで,準備を進めたうえ,日程に従い,報告し,全員で議論するという伝統的なゼミのスタイルを踏襲する。

■具体的ゼミ内容
 神戸小学生殺傷(酒鬼薔薇)事件と少年法制度,岡山金属バット母殺し事件と精神鑑定,責任能力制度,刑事法における人権保障と犯罪対応,児童虐待の防止等に関する法律の成立と検討課題,刑事裁判と陪審・参審制度,死刑制度と死刑囚の処遇,オウム事件とオカルト犯罪,などを報告テーマに,犯罪捜査,刑事事件報道から,死刑の是非まで白熱した議論を行ってきた。今後も魅力的テーマが目白押しである。

吉岡一男教授

法学研究科
吉岡一男教授
専門分野:刑事学