ネットワーク産業の未来:ブロードバンド・インターネットと新エネルギー・サービス 2005年度

 本ポケットゼミでは,情報通信やエネルギーのようなネットワーク産業の未来を一緒に考えています。日本のブロードバンド・インターネット環境は世界一といわれるが,本当に毎秒100メガビットの情報を送る世の中が来るのだろうか。日本の半分の電力供給は原子力に依存しているが,このようなエネルギー供給は持続可能性を持っているのだろうか。例えば,このような問題を一緒に考えています。毎回報告者を決めて,自由に自分の調査した事柄を報告してもらい,報告内容に関して,全員参加型で自由討議します。従って,相手の意見をよく聞き,自分の意見を伝え,相互理解の上に問題に対する処方箋までたどり着くというプロセスが重要です。また,実地調査を重視し,実際の企業施設見学会等も予定しています。原子力発電の仕組みを知らない人間が原発批判をしたり,光ファイバを使ったサービスを目にしたことがない人間がIT企業を起こそうとしても,誰も信じてくれません。このポケットゼミでは自分の目で見ることを重視しています。
 平成17年度は工学部から2名,経済学部から2名,総合人間学部から1名の参加がありました。それぞれ毎回工夫されたプレゼンテーションが行われ,その後活発な議論が繰り広げられました。ポケットゼミでは,文系の学生と理系の学生がほぼ半分ずつ出席し,それぞれの立場から意見交換できるところが特徴です。工学部の学生が経済原理の重要性を学び,経済学部の学生が最新技術の動向に触れることは,それぞれの将来にとっても意義深いことです。さらに言えば,進んでポケットゼミに参加するような学生は,受験勉強で燃え尽きた学生とは異なり,大学で新しい知識の獲得に燃えている前途有為な若者という印象を受けます。大学教員としても,こうした元気のよい京大生と一緒に議論できることは元気の源になります。
 わが経済学研究科・依田研究室では,ブロードバンドやエネルギーの分野において先駆的な研究成果を世の中に出し,実際の経済政策にも貢献しているところです。そしてその主役は経済学研究科のみならず,さまざまな他学研究科から参加してくれる大学院生・若手研究者たちです。ポケゼミ参加者が,近い将来,我々の研究活動の一端を担ってくれることを期待しています。

依田高典助教授

専門分野:現代経済学