食料・エネルギ・環境問題に挑戦する工学 2008年度

トレーサビリティに貢献する選果ロボット

■授業のテーマと目的
 現在まで農業はその時代の最先端技術を使って行われてきました。人類が生存してゆくためには、環境に配慮した食料とエネルギの確保が最重要課題です。この難しい問題に最先端の技術を使って取り組んでいる研究を紹介すると共に、解決方法を討議することによって、食料、エネルギ、環境に関わる幅広い知識を育成することを目的とします。
 本課題は非常に重要であるがために、多くの研究分野の研究者、技術者と多面的に取り組む必要があります。本ゼミでは、農学研究科地域環境科学専攻の食料・エネルギ系の研究分野の教員が色々な角度から取り組んでいる実例を紹介します。まず、農業システム工学分野(中嶋准教授他)からは、「農業システム工学によるアプローチ」のテーマで、マイクロ波送電による農業機械の電気駆動、農作業の最適化のためのモデル手法、企業経営評価、テラメカニックスと食料問題などが議論され、システム工学の農業への応用の現状が紹介されます。続いて、フィールドロボティクス分野(梅田教授他)からは、「精密農業とは何か?―環境保全と食料生産の両立―」のテーマで、人工衛星、農業ロボット等最新技術を使った環境に配慮した農業生産の研究の現状ならびに、細胞力学、肥料や種子の可変量制御技術などを紹介し、履修学生と共に今後の農業について討議を行います。さらに、農産加工学分野(近藤教授他)からは、「農産物の非破壊計測と施設内生物生産」のテーマで、果実や茎葉の光学的性質、色のしくみ、電磁波による応答等、植物の基礎的な物理的特性ならびに非破壊計測技術等を学びます。また、閉空間内生物生産制御、被子植物と昆虫との共進化等、食料生産や環境に関わる幅広い知識も身につけます。

■履修学生による調査とその発表
 農学および工学に関わる色々な基礎的知識を学ぶと同時に、2~3週間の間、農業、食料、食品などに関することを自分たちの力で調査し、それを発表することを試みます。 
 平成20年度は、現在大きな社会問題になっている「食と農の安心・安全に関わる調査」を生産、流通、消費の各ステージ(JA、競り、小売店等)で行います。さらに、各自が調査した結果、考察に関して、パワーポイントを用いて発表し、議論します。これにより、履修学生のプレゼン能力、コミュニケーション能力、および問題解決能力を養うこともねらっています。

近藤直教授

農学研究科地域環境科学専攻
専門分野:農産加工学