スポーツのコツとバイオメカニクス 2008年度

 1回生諸君、受験勉強お疲れ様でした。ここからが本当に「おもろい」勉強の始まりですね、しかし、それぞれの道のプロとなるわけですから、学部カリキュラムは楽しいばかりではないかもしれません。専門家として必要な知識や技能をそれぞれのカリキュラムに沿って学んでいくわけです。しかし、この「スポーツのコツとバイオメカニクス」ポケットゼミは、なるべく「おもろい」授業を目指したいと考えています。おもろい、とは英語で言いますと impressive の意味で、決して funny や amusing や easy であるわけではありません。京都大学の理念に従って、既成の知識や技能に囚われない自主的なゼミにしたいと考えています。ただ興味本位ではなく本気でスポーツをやってきた、または本気でスポーツをやりたいと思う人に多く参加していただければ「おもろい」下地ができることになります。
 だからといって、このゼミでは参加者に秘密の「スポーツのコツ」をお教えするわけではありません。むしろ、参加者たちにその「コツ」をお聞きします。主観的要素が大きな割合を占めるスポーツでは、必ずしも客観的普遍的な理解が良い結果を生むとは限らないため、たいていの選手は独自の「コツ」を隠し持っています。まず、そういった「こつ」をお互い正直に紹介し合います。次に、私の方から、バイオメカニクスという学問の基礎の基礎をお話しします。だいたい、高校の物理Ⅰ程度の内容です。そうして、主観的記述と客観的記述のちがい等に関してもお話しします。ここでは、身体の動きや時間を人がどのように認識してそれに対処しているのか、に関しても簡単に説明します。ここまでは、6,7月頃の土曜日1日で終わらせてしまいます。この日にそれぞれのテーマを決めたり、時によってはペアを組んだりしますので、ここに参加できないと本番が始まりません。
 さて、本番のゼミは7月下旬から8月頃の2日間を使用して行います。ただ何かの本を写したのではなく、1ヶ月の間、日々考えながらスポーツに親しみ、自分の知性と感性でひねり出した「コツ」を発表してみて下さい。主観的記述と客観的記述を明確に区別した上でコンピュータ等を用いてimpressiveに発表していただきます。その内容を皆で討論しましょう。私はスポーツでは諸君には敵わないと思いますが、知識と経験をフルに活用してなるべく諸君に食いつきたいと思います。討論やディベートを通じて、様々なスポーツ間の共通性や相違が明らかになってくればより「おもろ」かろうと思います。

富田 直秀

所属:京都大学工学研究科・バイオエンジニアリング講座・医療工学分野
職名:教授 専門分野:バイオメカニクス、再生医療、
趣味等:剣道、テニス、絵画、リコーダー、その他

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