民事裁判入門 2011年度

1 裁判所の組織及び裁判官や弁護士の職務の内容や活躍の実情等の講義を受けた後に、民事裁判の始まりから終わりまで、すなわち、訴えの提起から判決の言渡しに至るまでの民事裁判の各手続について、概略を学ぶ。

2 内容の要旨は、次のとおりである。
(1) 裁判所の構成、三審制、裁判官・弁護士の職務内容
(2) 管轄、民事訴訟の意義、訴えの種類、訴状・答弁書の記載事項
(3) 処分権主義、弁論主義、訴えの利益
(4) 具体的事例(貸金返還請求事件、売買代金請求事件、土地明渡請求事件等)
(5) 主要事実、間接事実、第1回口頭弁論期日、争点整理期日(弁論準備手続期日)
(6) 裁判上の自白、証拠調べ、事実認定と自由心証主義
(7) 口頭弁論の終結、訴えの取下げ、請求の放棄・認諾、和解
(8) 判決、上訴(控訴・上告)、強制執行、保全処分(仮差押え、仮処分)等

3 授業の中で、数件の具体的事例の課題について、学生が訴状や答弁書を作成したり、レポートを提出し、これらの問題点について皆で議論をし、教員が適宜コメントをしながら授業を進める。
 また、クイズのように間違い探しの課題を出し、それについて検討・議論の機会を設けたが、学生からは、難しい問題もとっつきやすく理解しやすいとの感想が出ていた。

4 授業の最終段階では、法科大学院の模擬法定を借りて、簡単な模擬裁判をするが、裁判官が実際に使用していた本物の法服も着てやるので、貴重な経験になると思う。
 最後の授業で70分程度の小テストを行い、終了後にその場で正解案を渡して講評をするので、小テスト自体も授業の一部となっている。

5 少人数で行うので、毎回、発言の機会があり、学生間及び学生と教員との間で討論を行い、学生は納得いくまで質問ができる。

学生は予習復習を十分して授業では積極的に発言するように努めること。将来、法科大学院に進学を希望する者の受講を歓迎する。なお、授業では、元裁判官としての経験に基づく話も時々取り入れる。

中田 昭孝

法学研究科、教授
昭和17年(1942)生まれ
出身地:京都府
専門分野:民事裁判
趣味等:西野流呼吸法