太陽・地球・惑星の科学 2011年度

平成20年度受講生のメンバー

 太陽は地球に住むわれわれにとって、かけがえのない星です。本授業では、まず、その太陽の内部や表面で起こる現象について学び、続いて、太陽の表面から超音速で放出される、太陽風と呼ばれるプラズマ(高温のため電子とイオンがばらばらになった状態の気体)の性質について勉強します。

 一方、太陽や地球、また他の多くの惑星では、その内部の金属流体核の運動に伴うダイナモ(発電)作用によって電流が流れ、天体周辺に磁場が生成されています。そのため、太陽風が、地球の傍にやって来ると、ダイナモ作用で生成された磁場と出会い、プラズマを構成する電子とイオンの軌道が曲げられます。昼間側では地球から出た磁力線がプラズマに包み込まれ、夜側では、磁力線が長く引き延ばされたような構造が作られます。この地球から出た磁力線の詰まっている領域を磁気圏と呼んでいます。

 磁気圏は、磁力線が詰まっているだけでなく、さらに太陽風の一部が進入してきたプラズマと、地球の電離した大気の領域(電離圏)から上昇して来るプラズマで満たされています。電子とイオンの間に相対速度が発生すると磁気圏の中で電流が流れますが、オーロラはそのような磁気圏中で作られた電流が、電離圏に向かって磁力線に沿って流入・流出することに伴って発生する現象です。授業では、これらのことを、現象の原因を理解するために必要な物理の基本原理とともに学びます。

 さらに、応用として、他の惑星において、上に述べた現象がどのように変化して現れ、また、物理的な基本原理がどのように適用されるのかを学んでゆきます。例えば、水星、木星、土星、天王星、海王星は地球と同じように惑星内部の金属流体核のダイナモ作用によって、固有の磁場を持っており、それが太陽風と相互作用を行うことによって磁気圏が形成されています。ですが、惑星の大きさや磁場の強さが異なるために、磁気圏の大きさも様々ですし、その中で起こる現象にも様々な違いがみられます。オーロラに関しても、これらの中で水星以外の惑星について存在することが、惑星探査機あるいはハッブル望遠鏡の観測でわかっています。これらの類似性や相違点については、物理の基本原理を用いることによって大体理解することができます。しかし、その一方で、基本原理の教える予想とはどうしても異なる現象も見つかっています。したがって、その相違の原因を解明することが、新しい基本原理の発見につながることが期待されます。

 本授業では、以上のことがらについて、ゼミ形式で議論し、共に学んでゆくことを予定しています。

 成績の評価は、出席とゼミでの発表内容・レポートの内容で評価します。

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町田 忍
理学研究科 地球惑星科学専攻

家森 俊彦
理学研究科 地磁気世界資料解析センター