宇宙の観測400年の歴史 2011年度

1.88m望遠鏡のドームで写真を撮ろうとしている2009年のゼミ生。

 京大では、名古屋大学や国立天文台と協力して南アフリカ天文台に赤外線望遠鏡を設置し、観測しています。南アフリカのケープタウンは大英帝国が築いた要衝の地、1820年には王立天文台が設立され、数々の天文学上の発見がなされてきました。南アフリカ天文台で私たちと共同研究をしてきた赤外線天文学者に、アイルランド出身のイアン・グラス博士がいます。彼の書いたこの本は、ガリレオ、ニュートン、ハーシェル、ハギンズ、ヘール、エディントン、シャプレー、ハッブルという「宇宙物理学者」8人の生涯をたどったもので、特に天文学の予備知識など必要なく、読んでいくことができます。

 ゼミでは、何人かを選び、その発明や発見を通して20世紀前半までの宇宙物理学の発展を見ていきます。せっかく高校まで6年も英語「を」勉強してきたので、その得意不得意にかかわらず、大学へ入ったところで学部の壁を越えて、英語「で」科学者の伝記を読んでみましょう。多少の誤訳には目をつぶり、よく分からないところはすっ飛ばしつつ、時代の雰囲気に触れたいと思います。さらに可能であれば、21世紀最先端の観測的研究について自由に調べてきて発表しましょう。

 7月か8月には、岡山の天体物理観測所にある研究専用としては国内最大の口径1.88m望遠鏡か、理学部の附属天文台(花山天文台)にある由緒ある望遠鏡か、そういった望遠鏡の実物を見に行くことを計画しています。

 添付の写真は、1.88m望遠鏡のドームで写真を撮ろうとしている2009年のゼミ生。

長田 哲也

理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻(宇宙物理学教室)、教授
1957年生まれ
出身地:兵庫県神戸市
専門分野:赤外線天文学
趣味:週に1度の水泳、ハイドン等の音楽を聴くこと
左は赤外線(波長1.2マイクロメートル)での顔写真