のぞいて見よう量子の世界 2011年度

 目に見えない小さな量子の世界では常識では考えられない不思議なことが起こっています。最先端科学を切り開く量子テクノロジーは、エネルギー、生命、環境などへ応用され、身近なところでも活躍しています。我々のポケゼミで、様々な角度から量子の世界をのぞいてみましょう。例えば、次のような内容です。難しい言葉も並んでいますが、分かりやすく進めて行きます。

・分子・原子・電子などの発見の経緯やその物語、また、実際に発見当時と同様な簡単な実験装置を使いながら、量子の発見について体験してもらいます。さらに、原子や分子を自在に操る最新のナノテクノロジーについても身近に使われている例を簡単に紹介します。
・量子線の利用分野は、医療、農業、生産業、環境、検査など多岐にわたっています。CT、育種、タイヤ、水・排煙処理、マイクロフォーカスX線検査など、また、学生からのリクエストに応じて利用分野を解説します。
・宇治キャンパスにある原子核工学専攻の加速器施設において、高速イオンビームを使った実験実習を行ないます。大気中を走るビームの肉眼での観察やイオンビームによる元素分析を通じて、放射線の性質や利用について理解を深めます。
・量子力学における、量子状態、コヒーレンス(干渉性)、エンタングルメント(もつれ合い)などについて、原子や光を例にとり解説します。また、量子テレポーテーションなど、量子技術としての応用も紹介します。
・原子力発電の燃料であるウランは、火力発電の燃料である石油や石炭と同様、限りある資源です。核燃料リサイクルや次世代のエネルギーについて最先端研究を学び、これからの課題について考えましょう。
・量子の利用(化学、生命科学との関わり)~宇宙から台所まで~というテーマで広い意味での放射線(赤外からガンマ線におよぶ光や高エネルギーの粒子)が関与する反応や放射線効果、生命の起源などについてお話します。

佐々木 隆之

工学部物理工学科原子核工学コースの教員一同で開講しています。専門分野も年齢もさまざまです。