京都の森を襲った2つの森林流行病 2011年度

東山に広がったナラ枯れ被害(2010夏)
昨年(H21)までにナラ枯れが広がった府県
ナラ枯れを流行させているカシノナガキクイムシ

 背景説明のための講義と現地での簡単な調査を経て、微生物と昆虫の巧妙な相互関係が森林を壊滅させている実態を理解してもらうとともに、本来人目に触れない生物関係が生態系にもたらす影響の大きさを実感してもらいます。森林が好きな人、環境問題に関心が有る人、生物の好きな人、これまであまり自然に触れる機会の無かった人も是非参加してください。

 このポケゼミでは現在日本各地でナラ類やカシ類の森に激しい枯損被害を引き起こしている森林流行病、「ナラ枯れ」をめぐる生物間相互関係を学びます。この病気は菌類を病原体とし、この菌類を体長5mm の小さなキクイムシが枯れた樹から健全な樹に伝播する事により被害地が拡大している森林流行病です。微小な生物の組み合わせが日本中の森林を荒廃している実態を是非理解していただきたいと思います。

 ゼミ実施に当たっては、最寄りの被害現場である吉田山に赴き、現地調査をする中でこの森林流行病の実態を観察し、その病気の仕組みを理解するとともに、野外における調査法の一部を体験してもらいます。ゼミは最初、講義の形で背景を説明し、次ぎに現地における調査に入ります。山で簡単な作業できるような服装、履物の用意を御願いします。これらが修了した後、簡単な相互討論を経て、レポートの提出をもとめ、評価を行います。

二井 一禎

農学研究科地域環境科学専攻微生物環境制御学分野、教授
出身地:京都
専門分野:微生物生態学、森林保護学