並列数値計算のすすめ 2011年度

 パソコンが主にメールやインターネットのツールとなった現在において、コンピュータが数値計算を行うものであるという認識は一般には薄れているのかもしれません。しかし、あらゆる科学・工学分野において、数値計算や数値シミュレーションは学問や産業の発展に不可欠な手段である事はまぎれもない事実です。当ポケットゼミでは、科学・工学で扱う問題を数値的に解く数値解析手法の基礎を学習します。プログラミング言語としては、数値解析に向いていると言われている言語であるFortranを扱います。まずは、Fortranの基礎から勉強しましょう。また、高速な数値計算や大規模計算を実現する上で、複数台のコンピュータを結合したコンピュータ・クラスタの利用は必然となってます。コンピュータ・クラスタ上での数値計算のための並列計算手法についても勉強しましょう。並列計算手法を勉強すれば、事業仕分けで有名になったスパコン(スーパーコンピュータ)やペタコン(ペタスケールコンピュータ)を身近なものと感じるようになるでしょう。並列計算手法としてはMPI(メッセージ パッシング インターフェース)とOpenMP(オープン マルチプロセッシング)の2つについて説明します。

 さらに、当ポケットゼミでは、京都大学のスーパーコンピュータ(HX600 クラスタ、SPARC Enterprise M9000 クラスタ)の見学会も企画してます。座学だけでなく、実際に運用されている大規模クラスタを目の当たりにすることで、並列計算の必要性を肌で感じてもらえればと考えています。

吉川 仁(よしかわ ひとし)

情報学研究科 複雑系科学専攻、講師
1975年生まれ
出身地:大阪府
専門分野:計算力学、非破壊評価
趣味等:音楽鑑賞(主にHR/HM系)、スポーツ観戦(主にガンバ大阪)