霊長類進化形態学 2011年度

 ヒトを含む霊長類は、樹上3次元空間に適応した哺乳類グループです。霊長類が示す形態の多様性の持つ意味や、発生・進化メカニズムを理解することが、このポケット・ゼミのテーマです。現生霊長類は、原猿類、広鼻猿類、オナガザル類、類人猿と人類などの多様な分類群を含んでおり、その身体形態には系統発生学的変遷が記録されています。また、指を5本持つことや鎖骨があることなど、形態形質の面では一般性を保存したままで、樹上空間で複雑な社会という特徴的な生活様式へ適応進化してきました。こうした霊長類の形態の進化について、系統発生・個体発生(成長と加齢変化)・適応・機能(位置的行動)の側面から、講義に実習を交えて、考えていくことを目的としています。

 霊長類研究所(犬山市)において、集中講義形式で、8月7日~11日(変更の可能性あり)に以下の講義・実習を行います。
 1) 霊長類の系統進化と形態概論:講義(担当:濱田穣)
 2) 霊長類の成長と加齢変化:講義と生体計測・体組成計測実習(担当:濱田 穣)
 3) 霊長類のロコモーションと機能形態学:講義と運動分析実習(担当:平崎鋭矢)
 4) 霊長類の進化形態学:講義と三次元形態分析(pQCT, CTを用いて)(担当:平崎鋭矢)
 5) 霊長類頭骨形態の物語るもの:講義と頭骨解剖学・計測実習(担当:毛利俊雄)
 6) 霊長類の飲食行動の相互観察:実習(=懇親会)(担当:教員と受講生)

 受講条件や準備すべきことなどは特にありませんが、研究室のウェブサイト(http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/shinka/keitai/index.htmIcon new window)を見ておいていただければ、講義の理解がスムーズになります。成績は、レポート、および各実習での計測・解析結果レポートを元にします。

 サルに興味のある方、進化に興味のある方、骨を触ってみたい方、いずれにも該当しない方、一緒に楽しい5日間を過ごしましょう。

濱田穣(霊長類研究所・教授)
平崎鋭矢(霊長類研究所・准教授)
毛利俊雄(霊長類研究所・助教)