リハビリテーション実践 2015年度

 リハビリテーションとは何か?という問いに多くの方々は骨折後のギプス固定の時の松葉杖歩行の指導や、脳梗塞の後の麻痺の改善や食事の練習などをイメージされると思います。それらはリハビリテーションの中で重要な項目ではありますが、必ずしも、それがすべてではありません。リハビリテーションの定義は「能力低下やその状態を改善し、障害者の社会的統合を達成するためのあらゆる手段」です。その語源は、ラテン語でre(再び)+ habilis(適した)であることから、広義には「権利の回復、復権」「犯罪者の社会復帰」「教会からの破門を取り消され、復権すること」なども含まれ、「適応」「自律」「貢献」「生きる」など人間社会における多くの課題を解決する手段にもなり得ます。それらの課題解決のためには医学だけでなく、運動学、人文学、工学の広い分野の知識と実践を必要とします。このことからリハビリテーションを実施する場所は病院に限定されず、家庭、学校、地域社会、職場など広い領域で実践されております。

 そもそも「病気」とは?「健康」とは?「障害」とは何でしょうか?これらは座学による学習だけではなく、自分自身で体験し、考え、課題に直面することで、初めて理解が可能になります。本ゼミでは擬似障害モデルやその対処法の体験、実践を通してリハビリテーションを学ぶと共に、自分自身が社会参加することの意義や方法を考えることを目的としております。

青山 朋樹