iPS細胞入門 2015年度

 2012年のノーベル医学生理学賞に輝いたiPS細胞の発明。新聞やニュースでも良く耳にし、再生医療への応用も期待されているが、そもそもiPS細胞とはどんな細胞なのだろうか?「幹細胞」や「多能性」をキーワードに、iPS細胞が登場するまでの歴史的背景にも触れつつ、iPS細胞研究の基礎を学ぶ。

 ポケットゼミの参加者には、iPS細胞を中心としてどのような研究が行われているのか、実際の原著英語論文に触れながら、理解を深めてもらう。論文にはどのような事が書かれているのか、どのような実験が行われているのかについて、講師陣が詳しく解説する。英語力は問わないが、研究論文にどのようなことが記載されているのかを学ぶことができる。(英和辞書持参のこと。)

 さらに、iPS細胞は万能細胞と呼ばれることもあるが、決して何でも出来る細胞ではない。では現在の科学技術で何ができて何ができないのか、iPS細胞技術の限界や問題点を皆で話し合って行く。後半ではiPS細胞研究所で行われている最先端の研究についても紹介し、iPS細胞研究の今後の展開について議論して行きたい。

 このポケットゼミを通じて、iPS細胞への理解を深めるとともに、実験結果や技術的課題について考察・議論し、自分の考えやアイデアを発表するという研究の醍醐味に触れてもらう。好奇心が研究の原動力であり、iPS細胞や再生医療に対して日頃疑問に思っていることを講師陣にぶつけるチャンスでもある。受講可能人数は限られているが、研究者を志す学生はもちろんのこと、このページをみて面白そうだと感じた諸君の積極的な参加を期待する。

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昨年度受講生の感想

私は元々再生医療の分野にとても興味があり、「iPS細胞入門」という講義名に惹かれこのポケゼミを受講することに決めました。物理選択者であり、生物学の知識が浅く不安もありましたが、講師の方々がホワイトボードやパワーポイント等を使い大変丁寧に説明して下さり、とても分かり易かったです。講義は、ゼミ形式ということで少人数であったため、皆で意見を出して話し合ったり、実際にiPS細胞に関する英語の論文を読んだりと、私たち生徒が主体的に取り組むものでした。どれも刺激的で面白く、最先端で研究されている講師の方々から聞く話で知識を広げることができました。また、最後の講義では、iPS細胞研究所の中を見学させていただきました。ものすごく高価な機械や実際に研究されているところを生で見るというとても貴重な体験をさせていただきました。私は、このポケゼミを通じてより再生医療に興味を持ちました。自分の視野を広げる大きなきっかけになったと思っています。本当にこのポケゼミを受講できてよかったです。

京都大学 農学部 一回生 C.S.
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堀田 秋津 他

****** 各教員プロフィール ******
【堀田 秋津 (Akitsu Hotta)】
所  属:iPS細胞研究所 初期化機構研究部門
職  名:特定拠点助教
専門分野:幹細胞遺伝子工学
趣味等 :キーボード演奏
ラボHP:http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/hotta/Icon new window

【櫻井 英俊 (Hidetoshi Sakurai)】
所  属:iPS細胞研究所 臨床応用研究部門
職  名:特定講師
専門分野:筋疾患治療学
趣味等 :プロ野球観戦

【渡辺 亮 (Akira Watanabe)】
所  属:iPS細胞研究所 初期化機構研究部門
職  名:特定拠点助教
専門分野:ゲノム科学
趣味等 :マラソン・旅行

※写真は上から、堀田特定拠点助教・櫻井特定講師・渡辺特定拠点助教