川を観る・海を観る 2015年度

富田川中流部の河川地形(瀬・淵構造等)を実際に観て,その地形構造と水の流れの関係性について観察しているところです.
観測船で田辺湾に出て,湾口部にある観測塔へ移動しているところです.観測塔付近の水深は約30mで,実際に計測器を沈めて,深さ方向の水温・塩分の分布を測ります.
潮岬風力実験所の計測フィールドで,超音波風速計と水蒸気計測装置を設置して,計測準備をしているところです.計測された結果を使って,地面から大気側への水蒸気の移動量を推算しました.

 地球上のエネルギーの源は,はるか太陽からの放射です.このエネルギーは大気を素通りして,地面や海面にもたらされます.そのエネルギーが,熱や水蒸気の形で再び大気に戻されることにより,大気の温度が保たれ,高気圧や低気圧,台風,竜巻,集中豪雨などの大気現象を引き起こします.

 上記のような大気現象の結果として,空から雨が降り,水たまりが川になり,海に流れていきます.その途中で,水は蒸発し,水蒸気となって上昇し,また雲ができます.こんな,地球上の水の循環を現場で直に調べてみましょう.このゼミでは,紀伊半島の南の白浜にある京都大学の施設で,海洋観測,および河川での計測を行います(気象観測を潮岬の施設で行う場合もあります).白浜では,船で移動しながら,海の中の温度,塩分の濃度を測ります.また近くの富田川を対象に,河川地形の観察,河川を流れる水量の計測などを実施します.
(潮岬で実習を行う場合は,地上や海面近くの大気を,精密な風速計や温度計を用いて測定するラジオゾンデといわれる測器を用いて,高い空の大気の状態を測る予定です)
 これらの観測から何がわかるのでしょうか?
いろいろな,大気と海洋のシステムを学ぶとともに,実際の観測を通して,大気と海洋の息づかいを感じてみましょう.

【実習概要】
 例年9月上旬頃に,3?4日程度の日程で,白浜(および潮岬)での実習を行います(実習日程については,ガイダンス時に日程調整します).
 2014年度は天候にも恵まれて,白浜での川,海,潮岬での空の実習をすべて行う事ができました.現地での実習,観測は当日の気象・海象条件に左右されますので,常に予定通りとはいきませんが,現地での活動が天候などの条件に左右されてしまう難しさも含めて体験してもらえればと思っています.

2014年度の実習内容
初日:
宇治から白浜へ移動
富田川の上流から下流まで「川を観る」,河川内の流速,流量の計測実習
(白浜泊)

二日目:
観測船で田辺湾に出て「海を観る」,水温・塩分濃度の観測実習
白浜から潮岬へ移動
(潮岬泊)

三日目:
潮岬風力実験所で,大気乱流の観測実習で「空を観る」,高層気象観測(ラジオゾンデ)の様子を見学

馬場 康之 他

****** 各教員プロフィール ******
馬場 康之 防災研究所 流域災害研究センター 白浜海象観測所
水谷 英朗 防災研究所 流域災害研究センター 白浜海象観測所