光と色と構造と ?光の科学? 2015年度

 我々の世界には光があふれています。真っ暗闇の所や、目を閉じると何も見えなくなるのは光が遮断されているからで、光がなければ我々はあらゆる物を見ることができません。また我々は形と色で物を認識することが圧倒的に多く、色というのは非常に重要な情報の一つとなっています。実は色とは光の性質の一種で、視感覚、心理的・感情的な物理量とも呼ばれる、結構あいまいな物理量です。例えば空の色は何色?と聞かれると、漠然と青色や水色と答える人が圧倒的でしょう。しかしもっと細かく表現して下さい、と言われると、その答えは人によって千差万別となります。これはまさに色が個々人の視感覚、心理や感情に左右されるという典型的な例でしょう。しかし一方で産業・工業的見地に立って考えると、何か統一された基準・規格がないと非常に困ったことになるのも事実です。例えばテレビやコンピュータのディスプレイが物を映し出す時、それが正しい色を表示しているか検査する場合などにおいて、統一規格がないと問題が生じることは想像に難くないでしょう。
 繰り返しますが、色と光というのは密接につながっています。従って光が物質とどう作用するかによって、その物質の色が決まると言ってもいいでしょう。その作用は1つの原子・分子のレベルからそれらが集まって作り出した比較的大きな構造によるものまで、実に様々です。このゼミでは光とは何か、色とはどう表現されるものかなどをより物理的な立場から考え、さらにどういった現象で色が観測されるのか、各事象について解説したり、参加学生に調べてもらいながらゼミを進めていきたいと思います。と言っても物理的な基礎知識はそれほど必要なくとも理解できるように工夫するつもりですし、ゼミ中には簡単な実験も行いたいと考えています。文系理系を問わず、何事にも興味を持ち、積極的に考える学生の参加を歓迎します。シラバスはKULASISから閲覧できますので、興味を持たれた方は是非参加してみて下さい。

高西 陽一

理学部物理第一教室 ソフトマター物理/准教授
1965年 東京 
専門分野:液晶の構造と物性研究
趣  味:音楽鑑賞(主に邦楽)、ラリー観戦、陸っぱり(釣り)、料理、ドライブなど