世界自然遺産の小笠原の自然と社会と文化 2015年度

これから出航。おがさわら丸に乗り込みます。
船内でのミーティング
おがさわら丸は二見港(父島)に入港してきました。山は土壌が薄く乾燥するので、樹高の低い乾性低木林と呼ばれる、日本には例のない森林が広がっています。
戦跡ツアー
ビジターセンターで島の人から、昔の小笠原の様子を聞く。右は司会者で、首都大学のロング先生(言語学専門)。
フラダンス講習会
乾性低木林を見に行く時、途中の尾根から見えた海。
見送り船。おがさわら丸が父島を出港する時、多くの観光船が見送りにでてくれます。

 2011年度より「小笠原の自然と文化:世界自然遺産に向けて」というタイトルでポケゼミを初め、毎年開催してきたので、今回で34回目になります。2011年は小笠原の世界自然遺産登録に向けてユネスコに申請中であり、採択に向けて、環境省や林野庁といった公官庁や大学の先生や研究所の研究員などによるさまざまな取り組みが活発になっている時でした。それでこのタイミングに小笠原に学生を連れて行き、自然ばかりでなく、歴史や島独特の文化なども紹介するポケゼミを開始しました。その後2011年6月に、小笠原諸島は日本で4番目の世界自然遺産に登録され、ポケゼミのタイトルも「世界自然遺産の小笠原の自然と社会と文化」に変えました。
 このゼミでは、8月の中旬から下旬にかけて6日間、実際に小笠原の父島に行き、島の自然や文化、歴史の紹介や、世界自然遺産を保持していくためのさまざまな取り組みを見てもらいます。社会科学と自然科学をバランスよく、また山から海へとさまざまな場所を見て体験できるようバランスよく、プログラムを配置しました。それで島内では3泊4日と短い期間ですが、ちょっと大変ですがギュっとさまざまなプログラムを詰め込んでます。短い期間のなで、小笠原のすべては紹介しきれませんが、それでも昼は美しい海、夜は美しい星空、そして日本では他に例をみない森林を見て、島を満喫していただこうかと思っています。
 このプログラムは社会科学、自然科学の多岐に渡れるよう、首都大学の先生らと協力し、また他大学の学生と一緒にプログラムを振進行していきます。島に行く前の下調べとして事前課題レポート、そして実際に自分の目でみたあとに自分が調べてきたことを自分の中で消化するよう、事後課題レポートを出しています。今まで京都大学の学生は、他大学の学生に負けないよう、いいレポートを出してきてくれています。
 小笠原には民間の飛行場はなく、東京から船で約26時間かけていくことになります。なので台風などで日程が変更になったりも十分ありえるので、8月の中から下旬にかけて日程的に余裕がある学生でないと参加が難しいです。あと船が出港できないと、どうしても実習を開催できない場合もありえます。でも逆になかなか行けないとこなので、この機会に小笠原に行ってみることはとても良い体験になると思います。また小笠原には様々な民間のエコツーリズムがありますが、個人で参加するともちろんお金もかかります。でもこのポケゼミでは、小笠原で研究し、また世界自然遺産の保全のため行政と密接に関わり社会面でも活躍している自然科学や社会科学の専門家から、直に講習を受けることができます。また研究の堅い話ばかりでなく、フラダンスの講習や海の生き物の観察など楽しめるプログラムも組んであります。プログラムの都合上、参加人数はどうしても少なく押さえざるをえませんが、ぜひこの機会に小笠原を堪能してください。特に夏の小笠原は、空や海の青さがはえ、1年の中でも最も美しい時期です。また去年はアオウミガメが産卵のため上陸してくるとこも見えましたよ。
 このポケゼミを担当する私の学問専門分野は、自然科学の中でも、植物生理生態学、もしくは樹木生理学になります。小笠原ばかりでなくタイといった、亜熱帯や熱帯林を中心にして研究を行っています。もちろん日本でも研究サイトを持っていますが。私のホームページ(http://www.ecology.kyoto-u.ac.jp/~atto/Top_JPN.htmlIcon new window)では、小笠原やタイでの研究の紹介をしています。興味のある方は見に行ってください。

石田 厚

所 属:生態学研究センター
職 名:教授
出身地:名古屋
専門分野:植物生理生態学、樹木生理学