薬つくりにおける生命科学の役割 2015年度

 本ポケット・ゼミでは、薬学研究科・生命科学研究科の6分野に所属する教員(計8名)が、それぞれが専門とする下記のテーマについて、各分野について分かりやすく解説する。

○私たちのからだを構成する細胞(申、加藤):私たちヒトのからだは約60兆個の細胞から構成されており、1個1個の細胞が正常に機能することで、健康に生きていくことができます。最近では、ES細胞やiPS細胞など、どのような組織や器官にもなる可能性のある万能細胞の研究や、緑色蛍光タンパク質などを使って、生きている細胞の中で様々な小器官(小胞体やゴルジ体など)の動きを見る研究も盛んです。細胞の基礎から将来的な応用まで分かりやすく解説したい。

○モデル生物としてのゼブラフィッシュ(三宅):研究には様々なモデル生物が利用されている。本ゼミでは近年、ヒトの疾患モデルとして医学などの分野で注目されているゼブラフィッシュを例に、マウスと比較しつつ最先端の研究について解説したい。

○神経細胞におけるシグナル伝達と薬の作用点(柿澤):細胞間、細胞内のシグナル伝達機構の解明は、薬物の作用機序を解明する上で極めて重要である。本ゼミでは、脳・神経系における研究手法や最先端の研究成果にも適宜触れながら、神経系におけるシグナル伝達と薬物の作用について、分かりやすく説明したい。

○生体時計と病気(土居):体内時計の時刻を人為的に操作することができるようになれば、体内時計の異常に起因する現代型の不眠症や高血圧症などの生活習慣病に対し、従来の対処法とは異なる新たな時間治療法を実現することができると私たちは考えています。そんなタイムメディスンの夢について、熱く、そして論理的に議論を展開します
http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/system-biology/doimasao/Icon new window)。

○神経組織の成り立ちと基本的機能(根岸、加藤):私たち哺乳動物の脳・神経組織がどのようにして形成されるのか、その発生過程と、形成された神経回路により、どのように知覚情報が処理されるのかを分かりやすく解説したい。

○ショウジョウバエを用いたがん研究(井垣):がんは人類にとっていまだ最大の脅威の病である。本ゼミでは、ショウジョウバエを用いた最新の研究によって見えてきたがんの本質と、その新たな治療ターゲットについて解説する。

三宅 歩 他

****** 各教員プロフィール ******
申 惠媛(シン ヘウォン)【薬学研究科/准教授】
出身地:韓国出身(日本語可)
専門分野:分子細胞生物学、生化学

加藤 洋平【薬学研究科/助教】
出身地:栃木県
専門分野:分子細胞生物学 蛍光タンパク質を使って生きた細胞を顕微鏡で観察することで生命の仕組みを調べています

三宅 歩【薬学研究科/講師】 
専門分野:分子生物学、神経発生学

柿澤 昌【薬学研究科/准教授】 
専門分野:神経生理学・神経薬理学 脳機能の獲得・維持、そして老化のメカニズムについて、主に細胞・分子レベルで研究している

土居 雅夫【薬学研究科/准教授】
専門分野:時間医薬

根岸 学【生命科学研究科/教授】
専門分野:分子生物学

加藤 裕教【生命科学研究科/准教授】
出身地:兵庫県
専門分野:細胞生物学

井垣 達吏【生命科学研究科/教授】
出身地:岡山県
専門分野:発生遺伝学