比較認知科学実習 2015年度

左:森村特定准教授(熊本サンク
チュアリ)、右:平田教授

【授業の概要と計画】
 熊本県宇城市にある野生動物研究センター・熊本サンクチュアリで、チンパンジーとボノボの認知行動に参加します。チンパンジーとボノボは、ともにヒトに最も近縁な動物です。熊本サンクチュアリは、国内最多数のチンパンジーを保有し、そして国内で唯一ボノボがいる施設です。熊本サンクチュアリにおいて、チンパンジーとボノボの共通点と相違点を探る研究を見学・実地体験することによって、比較認知科学の手法と心の進化的基盤について学びを深めます。
 6日間の集中実習となります。時期は8月上旬を予定しますが、参加者の希望を聴取して相談のうえで決定します。
 実施する大まかな項目は以下の通りですが、その順番や時間配分については天候や進み具合等を勘案して調整します。
1.社会交渉やその他の行動に関する自然観察的研究
 チンパンジーとボノボのそれぞれの個体の顔を識別して、社会交渉を観察記録します。
2.タッチパネルを用いた認知課題
 タッチパネルを用いた選択課題や弁別課題に参画し、オペラント学習課題の基礎について学びます。
3.アイトラッカーを用いた認知行動研究
 視線を計測する実験研究をおこないます。
4.心拍計を用いた認知行動研究
 情動的な心的状態を測る生理的な指標として心拍変動を測定する実験研究をおこないます。
5.飼育環境エンリッチメント
 チンパンジーとボノボの飼育の現場を見学し、環境エンリッチメントのための活動を実地に体験します。
6.まとめ
 得られた成果をもとに、心の進化について受講生全員で議論します。

平田 聡

野生動物研究センター 熊本サンクチュアリ 教授
1973年生まれ 広島県出身
専門分野は比較認知科学、霊長類学
京都大学理学部卒業