都市の静脈系を考える 2015年度

 都市には様々にエネルギーが流入し、使用されて、物質が作られ、それらを利用して人々は生活をしています。我々の生活にはこのようにエネルギーや物を生み出す動脈系産業が必要であるとともに、人間活動に伴って排出される物質に対して、それを代謝し、動脈系に循環させるとともに、循環できないものを適正に処理・処分する仕組みが必要です。我々のヒトの身体を考えてみても、如何に静脈系が重要であるかは認識できるでしょう。
 現在の社会における静脈系システムとして、下水道システムや廃棄物処理処分システム等があります。これらは明治時代から発展してきて、現在に至るものです。動脈系産業が様々な社会情勢から大きく転換している(軽工業から重工業、IT産業へ等)とともに、静脈系のシステムも変化が要請されます。現在、地球温暖化や福島第一原子力発電所事故に伴うエネルギー問題がクローズアップされる中、静脈系システムを見直す転換点に来ています。特に、廃棄物は見方を変えれば都市に集積された資源であり、再資源化やエネルギー回収などの有効活用を図り、同時に環境汚染を最小化し、循環型社会・低炭素社会を形成することが求められています。
 本ポケットゼミでは、現在の都市静脈系施設の置かれている現状を認識し、フィールドワークとして実地視察を通じて、都市の静脈系システムを認識するとともに、廃棄物のエネルギー的な価値・ポテンシャルを実体験してもらうべく、簡単な実験を取り入れた体験型授業を行います。理系の方も文系の方も専門知識は特に必要ありません。これまであまり考えてこなかった視点で、これからの社会をどのように構築していけばよいか考えてみたいと思う人を歓迎します。

高岡 昌輝 他

****** 各教員プロフィール ******
教 授 高岡 昌輝(写真)
工学研究科都市環境工学専攻&地球環境学堂
資源循環科学論分野
大阪府堺市出身 1967年生まれ

准教授 大下 和徹

講 師 水野 忠雄

助 教 藤森 崇