農業の未来を拓く六次産業化 2015年度

 このゼミの科目名にある「六次産業化」とは、「第一次産業である農業を営む農業経営体が、農産物の生産だけにとどまらず、それを原材料とした加工食品の製造・販売や観光農園のような地域資源を生かしたサービスなど、第二次産業や第三次産業にまで取り組む」ことです。この六次産業化事業は、農業従事者の高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増加など多くの問題を抱える日本農業の打開策の一つとして、全国的に取り組まれています。そこで、この「六次産業化」に焦点をあて、日本の農業経営の未来戦略を展望することとします。その際、具体的な品目として日本の伝統的な食品である「梅」をめぐる生産・加工・販売にかかわる事例を取り上げ、受講生の皆さんとともに日本農業の今後を考えていきたいと思います。

 次に、この科目では、大学で行う講義(座学)と8月6日?8日に行う2泊3日の実習を行います。実習は、福井県若狭町にある「かみなか農楽舎」を調査拠点、宿泊施設として行います。実習では、実際に梅を生産・販売・加工している農業経営体への聞き取り調査や圃場見学、農業経営体への支援や梅の加工事業を行う農業協同組合や地方自治体にも聞き取り調査を実施します。その際、現地調査に必要な諸費用として約3万円が必要となります(諸物価の変動により、変動する可能性がある)。また、梅の圃場や加工工場の訪問等を行う予定ですので、実習に参加する際には必ず学生教育研究傷害保険等に加入してください。

講義では、
(1) 日本農業の現状と未来への光
(2) 日本農業の本気度を見る
(3) 果樹作経営とその中での梅栽培経営の特徴
(4) 農業経営の経営発展と企業化
(5) 農業の六次産業化・農商工連携の特徴と課題
などの現地調査に必要な情報・知識について説明します。講義の実施日時については、月曜日の5限目を基本としますが、受講生と相談のうえ適宜実施します。

小田 滋晃

農学研究科 生物資源経済学専攻 教授
1954年生まれ
専門は、農業経営学、農業会計学
京都大学体育会の第17代会長兼体育会水泳部部長。